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原油安で日銀の物価目標達成が困難に

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 ここにきて原油価格の下落が顕著になってきている。WTI原油先物は6月末あたりが目先のピークとなり、そこからじりじりと下落傾向となった。10月2日に1年5か月ぶりに1バレル90ドルを割り込んだあたりから下げ足を速め、17日には一時、1バレル80ドルを割り込んでいる。

 10月9日あたりからの欧米市場でのややパニック的なリスク回避の動きの背景には、ヘッジファンドなどによる大きなポジション調整との見方もあったが、そこにはこの原油先物価格の予想以上の下落も影響していた可能性がある。

 中東情勢はイスラム国の問題等もあり決して楽観視できる状況にはない。しかし、原油の供給については、特に問題視はされていない。米国でのシェールオイル生産拡大で対米輸出が減っていることなどもあり、原油は世界的に供給過剰となっている。一部では米国がサウジアラビアを抜いて世界最大の石油・ガス生産国に浮上したとの見方もあるそうである。サウジアラビアの8月の原油輸出が3年ぶりの低水準となったとも報じられている。欧州や中国などを中心とした世界経済の低迷もこの原油価格下落の背景にある。

 原油価格の下落は我々の生活にとっては好ましいことであり、ガソリン価格も少しずつ下落しつつある。円安とエネルギー価格の上昇が物価の上昇を促した。しかし、この円安とエネルギー価格の上昇は、消費増税も加わっての我々の生活にマイナスの影響を与えただけでなく、中小企業などにも負担増になったことは確かであろう。

 しかし、2013年4月あたりからのコアCPIの予想以上の上昇ペースの背景には、この円安効果と福島原発問題の影響が残るなかでのエネルギー価格の上昇による影響も大きかった。これにより消費増税の影響を除いたコアCPIは前年比%半ばあたりまで上昇し、2%の目標に向けて順調に上昇しているように見えた。

 人々の期待により物価がどのように押し上げられたのかは、期待を図る道具に確かなものがないためはっきりとはしない。しかし、欧州危機の後退により米国を中心に景気も回復し、日本経済も回復基調となった。その過程で企業がこれまで渋っていた価格転嫁を行いやすくなったことは確かである。しかし、これを日銀が国債を大量に買い込むことで発生させたとするにはその波及経路ははっきりしていない。

 原油価格は今年の7月あたりから急速に下落基調となっており、これは物価には抑制要因となる。さらに円安についても10月始めにかけてドル円は110円台をつけるなどしていたが、円安による中小企業などへのマイナスの影響も危惧されるようになり、欧米市場のリスク回避の動きも加わり、ドル円は一時105円台まで反落した。

 エネルギー価格の下落と円安調整により、日銀が予想していた秋以降の物価の再上昇傾向は困難となる可能性が出てきた。すでにコアCPIは消費増税の影響を除くと前年比プラス1.1%と1%近くまで低下している。

 10月4日の講演で黒田日銀総裁はコアCPIについて、しばらく1%台で推移した後、2%に向けて上昇するとの見通しを示し、1%を割り込むのではないかとの市場の見方を一蹴した。しかし、日銀の予想通りに再上昇をするのかどうかは、原油価格の動きをみると難しくなるのではなかろうか。日本の景気そのものも予想以上に低迷しているだけに、物価を押し上げる要因も見出しにくい。日銀は物価目標の達成時期は明確にしていないが、世界的な物価下落もあり、その目標達成はかなり難しい状況になってきているように思われる。

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by nihonkokusai | 2014-10-22 08:03 | 日銀 | Comments(0)
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