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日銀は物価目標達成の時期を修正か

 7日に日銀の金融政策決定会合があったが、このタイミングで興味深い記事があった。7日の昼に出ていたブルームバーグの「日銀が2%物価目標「2年」で達成の修正を検討へ、年内にも」との記事である。タイトルからみて、これは日銀内部からのリークかと思ったが、内容を読むとそうではなかった。元日銀副総裁やいわゆる日銀ウォッチャーと呼ばれる人たちがそのように見ているとの内容であったが、それにしてはタイトルが日銀自身がそのように考えているかのようなものとなっていた。批判するわけではなく、このタイトルに違和感というか、見えない主張が覆い隠されているようにも感じたのである。

 2013年4月の量的・質的緩和の決定の際に、「日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」とした。

 2013年3月5日に、日銀の副総裁候補に政府が提示した岩田規久男学習院大学教授は国会での所信聴取において、2%の物価目標の達成について日銀が全面的に責任を持つ必要があるとした上で、今後2年間で目標を達成できない場合は辞職する意向を示していた。

 日銀は2年で2倍で2%という数字合わせのような目標を打ち出したは良いが、どうやら肝心の物価目標の2年以内の目標達成が怪しくなり、日銀は軌道修正を図りたいとみられる。

 日銀総裁の円安容認発言をきっかけとしたここにきての円安の動きは110円でブレーキが掛かった。政府からは円安のデメリットに関する発言も出てきている。一部の大手企業に円安による恩恵はあっても、原材料費の高騰で中小企業にはダメージを与える。安倍首相は円安とそれによる株高による資産効果を強調したが、それは個人のなかでも投資額の大きないわゆる富裕層に恩恵はあっても、株などほとんど持たない層には影響はない。むしろ輸入物価などの上昇によるマイナスの影響すらある。選挙を見据えれば、ここはあまり主張すべきところではないはずである。

 日銀が頼ろうとした円安もここでいったんピークアウトしてしまうと、物価の上昇要因はあまり見当たらなくなる。IMFが7日発表した最新の世界経済見通しで、今年の日本の経済成長率予想を0.9%とし、7月時点から0.7ポイントも引き下げた。先進国の中で最も大きな下方修正となったのである。足元景気が良くないとなれば、日銀が描いていた好循環シナリオにも狂いが生じ、秋以降の物価上昇シナリオも軌道修正を迫られることが予想される。

 市場では、来年4月までに物価目標(消費者物価指数)の前年比プラス2%の達成が、日銀の異次元緩和の目的との認識でいる。このため、その目標達成が難しいとなれば、追加緩和期待が強まることも予想される。しかし、日銀の追加緩和は異次元緩和というバズーカを打ってからは、簡単にできるものできなくなっている。

 このため、日銀としては市場が認識している来年4月までの物価目標との認識を改めさせようとしているようにも思える。目標達成時期を具体的なものでなく、やや曖昧にするが、現在の異次元緩和は継続させ、来年4月以降も続けることをアピールし緩和効果を期待させるのではないかと思われる。

 はたして市場はそれで納得するであろうか。景気回復の足取り鈍く、円安の流れも変わり、株価も低迷といった状況となれば、物価目標達成の時期に関わらず、追加緩和期待が強まることも予想される。年末に向けて日銀は何らかの形で、舵の修正を行うことも予想されるが、市場の期待を繋ぎとめることができるかどうか。消費増税の行方を含めての政府とのタッグも可能なのか。年末に向けての日銀の動向はかなり興味深いものとなる。

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by nihonkokusai | 2014-10-09 09:15 | 日銀 | Comments(0)
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