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さすがに10月2日のECBの追加緩和の可能性は薄いか

 9月30日に発表された9月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比0.3%の上昇となり、8月の0.4%からプラス幅を縮小させた。これを受けてECBの追加緩和観測が強まり、30日の外為市場ではユーロが売られ、ドルに対し2年ぶりの安値をつけてきた。

 ただし、消費者物価指数の前年同月比0.3%は市場予想通りであり、サプライズがあったわけではない。10月2日にイタリアのナポリで開催されるECB理事会を睨んで、思惑的な動きが出たものと思われる。思惑で相場が動いた背景には、ここにきてのドラギECB総裁の発言があった。

 これまでのECBの追加緩和は、市場参加者が現状維持との見方が大勢のときに決定されることが多かった。特にドラギ総裁となってからはそのケースが多く、これがドラギマジックとも呼ばれた所以である。

 金融緩和はある程度のサプライズで市場に良い方向で影響を与え、金融引き締めは市場に事前に浸透させて市場に悪い影響を与えないようにするのが鉄則である。それを忠実に実行したような格好である。

 ただし、ドラギ総裁はこれまでも不意打ちを仕掛けてきたわけではない。過去のサプライズとされた追加緩和も、事前にそれなりに示唆があった。しかし、市場参加者は早期実施については難しいとの認識もあり、追加緩和が本当に実施されるとは自信を持って主張することができなかった。

 今回もドラギ総裁は22日の欧州議会での証言で「必要になれば、責務の範囲内で追加の非伝統的政策手段を活用し、非伝統的な介入の規模や手段の組み合わせを変更する用意がECBにはある」と表明し、24日にフランスのラジオ局とのインタビューで、「金融政策は長期にわたり緩和的であり続ける。理事会は、2%をやや下回る水準にインフレ率を回復させるため、すべての手段を活用するという決意において一致している」と述べた。さらにリトアニアの経済紙とのインタビューでも「低水準のインフレが過度に長期化するリスクに対処する必要性が一段と高まる場合、われわれは、責務の範囲内で非伝統的な措置を追加で実施し、非伝統的な介入の規模または内容を変更する準備ができている」と述べていた。

 これが今回も示唆にあたるのかどうかは2日の理事会の決定を確認する必要があるが、さすがに次の追加緩和は国債買入れを中心とした量的緩和となることが予想されるため、かなりハードルが高く、早期の実施は難しいのではなかろうか。上記のドラギ総裁の発言は、ユーロ圏内の国民に量的緩和導入をアピールして、一部のドイツの反対派を抑え込もうとしているのではないかとも思われる。10月2日の向けた準備ではなく、いずれ量的緩和を導入するための下準備とみておいた方が良いのではなかろうか。  ドラギ総裁は2日の理事会で、ABS・カバードボンド買い入れ計画の詳細を明らかにする見通しとも伝えられており、ABSの買い入れについて、投機的等級のギリシャやキプロスのABS(シニアトランシェ)も対象とすることを提案すると報じられている(ロイター)。

 この報道から見ても、さすがに10月2日の理事会での追加緩和、つまり量的緩和が決定される可能性は極めて薄いとみられる。しかし、量的緩和について議論が深まることも予想され、早ければ年内での追加緩和の決定の可能性はあると予想している。年内の残りのECB政策理事会の日程は、11月6日、12月4日となっている。

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by nihonkokusai | 2014-10-02 09:42 | 中央銀行 | Comments(0)
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