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10年国債の利率が0.5%と過去最低に並ぶ

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 2014年9月2日の10年利付国債入札において、利率が0.5%となり過去最低に並んだ。前回の0.5%クーポンの10年国債は2003年6月に入札された250回だけであった。この時の10年国債の利率の変遷を見てみると、2003年1月、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月がそれぞれ、0.9%、0.8%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.9%、1.0%、1.6%、1.4%となっていた。当時は実勢利回りに近い利率が毎月設定しなおされていたことで、この利率の変遷は当時の利回りの変動を物語っている。

 2003年6月あたりからいったい何が起きたのか。VARショックとも呼ばれているが、国債のプチバブルとその崩壊が起きていたのである。それをもう一度振り返ってみたい。

 2003年3月20日、速水優総裁の任期満了に伴い福井俊彦氏が日銀総裁に就任した。就任直後の25日に臨時の金融政策決定会合が開催され、金融政策は全員一致で現状維持としたが、決定会合のあと通常の政策委員会を開催し、銀行保有株買取枠を2兆円から3兆円に拡大した。

 4月30日の決定会合では当座預金残高の目標値を、17~22兆円程度から22~27兆円程度に引き上げ、5月20日の決定会合では27~30兆円程度に引き上げたのである。このように福井総裁に代わってから、日銀の当座預金残高目標の引き上げは数度にわたって行われ、この積極的な緩和姿勢を市場は好感した。

 2003年5月のりそな銀行に対する資本注入によって、大手銀行は潰さないといった意識が強まり、その結果、株式市場では銀行株などが買われ、海外投資家の買いなどにより、日経平均株価は2003年4月の7607.88円がバブル崩壊後の安値となり底打ちした。米国や中国などの経済成長などを背景に、日本の景気も徐々に回復し始め、その後上昇基調を強めた。

 6月までは債券相場は1日あたりの値幅も限られながらも、じりじりと高値を更新し続けていた。11日に30年債が0.960%、20年債0.745%、そして10年債0.430%とそれぞれ過去最低利回りを記録した。この相場上昇過程において、目立ったのがメガバンクの一角や地銀を含めた銀行主体の債券買いであった。銀行などがポジションのリスク管理に使っているバリュー・アット・リスク(VAR)の仕組み上、変動値幅が少ないことでそのリスク許容度がかなり広がりをみせていた。株価の低迷にともなって債券での収益拡大の狙いもあり、必要以上にポジションを積み上げ、異常なほどの超低金利を演出した。

 しかし、これもいわゆる債券バブルとなり、6月17日に日経平均が9000円台を回復し、この日実施された20年国債の利率が1%割れのクーポンとなり、大手投資家などが超長期国債の購入を手控えたことをきっかけにして、債券相場が急落したのである。

 今回、10年国債の利率がVARショックと呼ばれる国債急落前夜の水準に低下したから、これで再び国債の急落が起きるというわけでもない。当時と現在では金利低下の背景にも違いがある。今回は海外要因もあるものの、日銀の量的・質的緩和が国債市場に大きな影響を与えていることは確かである。2003年当時は銀行が相場を仕掛けていた側面があり、反落する要因が存在していた。今回は日銀が主な買い手になっている。だから急落はないというわけでもない。仮にもしこの状況下で国債急落があるとすれば、それは国債に対する信任が揺るぐことになりかねず、2006年のVARショックとは比べものにならない大きなものとなりうる。

 現在の10年債の利率の決定方式は2003年当時と少し変わってきており、償還日が同じ場合には実勢利回りが0.2%以上動いた場合に新銘柄になる。このため、実勢利回りが0.3%か0.7%あたりになるまでは、0.5%のままとなる。ただし、12月に発行される10年債は償還日が異なるため、そのときの実勢利回りに近い利率となる。

 果たして今回の利率0.5%よりも低い利率の10年国債が発行されることがあるのか。それとも2003年6月の記録が破られることはないのか。いずれにしてもこの0.5%という水準はかなり異常なものであるとの認識は持っていたほうが良いことも確かである。

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by nihonkokusai | 2014-09-03 09:39 | 債券市場 | Comments(0)
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