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秋以降のCPIに注目

 8月29日に発表された7月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は前年同月比でプラス3.3%となった。日銀は消費増税がフル転嫁されればコアCPIの前年比は2.0ポイント押し上げると試算していることから、消費増税の影響を除くとプラス1.3%となる。

 日銀は2013年4月に、コアCPIの前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため「量的・質的金融緩和」を導入した。コアCPIはこの異次元緩和を意識したかのように、2013年4月のマイナス0.4%から5月にはゼロとなり、その後順調に上昇し続け、2014年4月にプラス1.5%となったことでピークアウトした。消費増税の影響を除くと5月がプラス1.4%、6月と7月がプラス1.3%となっていた。

 黒田日銀総裁は8月1日の講演において、(消費者物価の)先行きについては、景気回復に伴って需給ギャップが改善する一方、エネルギーを中心とした輸入物価の押し上げ効果が減衰していくことから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみているとしている。

 7月のコアCPIは、エネルギーにより総合の上昇幅が縮小したものの、生鮮食品を除く食料や自動車保険料(任意)による拡大でカバーされた格好となった。8月の先行指標となる東京都区部の8月中旬速報はコア指数の前年比は前月と変わらずとなっており、これらは黒田総裁の見方を裏付けるものとなっていた。少なくとも夏場に1%を割り込むことはなさそうである。

 問題となるのは夏場以降となる。黒田総裁によれば、「その後は、本年度後半から再び上昇傾向をたどり、2016年度までの見通し期間の中盤頃、すなわち15年度を中心とする期間に、2%程度に達する可能性が高い」と予想している。

 日銀の消費者物価の予想に関してはかなり精度が高いとされているが、その正確性はあくまで3か月程度先あたりまでの予想であり、その後不確定要因が入り込むと予想が違ってくる可能性がある。

 地政学的リスクによる影響、特にエネルギー価格などの変動による影響なども想定されるが、これは予想ができるものではない。これよりもむしろ、消費増税後の景気の見通しが日銀の想定通りになるのかどうかによって、物価の動向にも影響が出ることが予想される。

 消費増税による4~6月期GDPの大幅な落ち込みは、やや予想を上回るものではあったが、1~3月期の反動も大きいことである程度、想定されていたものであった。問題は7~9月期の回復の度合いである。

 29日に発表された7月の鉱工業生産指数速報は前月比0.2%上昇となり、2か月ぶりに上昇したものの、前月比1.0%あたりの予想を下回っていた。生産予測指数は8月が前月比プラス1.3%、9月がプラス3.5%の上昇となっていた。

 ここにきて気になるのが、欧州を中心とした長期金利の低下である。この背景にはウクライナや中東などの地政学的リスクとともに、欧州を主体としての物価の低迷にある。日本はアベノミクスによる急激な円高調整により、結果として物価には上昇圧力が加わった。ここからさらに一段と上昇するためには、さらなる景気回復も必要となろう、海外の長期金利の動きを見る限り、海外の景気動向が不透明となってきている。たとえECBが追加緩和を行ったとしても、それですぐに景気が回復し物価が上がることも予想しづらい。

 このように秋以降の物価の動向は不透明ながら、異次元緩和以降の日銀の強気の予想はほぼ的中している。となれば日銀の予想が正しかったとなる確率も高いように思われる。それでもその予想が外れるリスクも意識しておく必要もあろう。ただし、来年4月にむけて、たとえ2%の目標に達する見込みが立たなくても、CPIの大きな落ち込みでもない限りは、日銀が追加緩和に追い込まれるリスクはいまのところ低いと思われる。

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by nihonkokusai | 2014-09-01 09:50 | 景気物価動向 | Comments(0)
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