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イングランド銀行とFRBの利上げ時期

 20日に発表された7月6~7日開催のイングランド銀行MPC議事要旨によると、ウィール委員とマカファーティー委員が0.25%の利上げを主張していたことが分かった。

 イングランド銀行は13日のインフレ報告で、賃金の伸び見通しを大幅に引き下げ、賃金の動向が利上げの時期やペースを決定する上で重要な要素になるとの方針を示した。これを受けて、市場では年内にも利上げかとの観測がやや後退していた。さらに英国の7月の消費者物価指数は前年同月比で1.6%上昇。前月比で0.3%の低下。イングランド銀行の物価目標を下回っており、これでも早期利上げ観測がやや後退していた。

 ところが7月6~7日のMPCでは、9人の委員中2人が利上げを主張していたのである。もちろん他の7名は利上げにには反対し結果として現状維持となった。ここで注意すべきは、これまでの全員一致が崩れてきたことにある。MPCにおいて政策金利の決定で票が割れるのはここ3年で初めてとなる。つまりカーニー総裁となって初めてのケースということにもなる。金融緩和はさておき、金融引き締めについては市場に負のインパクトをなるべく与えないようにするため、徐々に市場に浸透させることも必要となる。ここにきての利上げの票が出てきたということは、利上げに向けての下準備とみることも可能となる。

 景気・物価動向によるとは言え、今回のイングランド銀行のMPCの票割れは利上げ時期がそう遠くないことを意味しており、年内を含めてその可能性がある。ただし、利上げ幅は0.25%程度と控え、追加利上げに関してはかなり慎重になることも予想される。ここで必要とされるのは正常化に向けた一歩である。

 20日には7月29~30日開催のFOMC議事要旨も発表された。ここでは、労働市場が予想以上に急速な回復を遂げているとし、改善がさらに加速すれば利上げを前倒しするのが妥当だという見方を示していた。利上げ開始時期の見通しについては今後の動向次第ともしていたが、正常化の戦略もすでに議論されていた。

 イエレン議長は市場で極端な早期利上げ観測が強まることを避けるため、利上げ観測に対してはバランスを取るような発言をしていた。利上げは景気や物価動向次第であり、特に時期などを前もって決めているわけではないことを主張していた。しかし、テーパリングが10月にも終了することで、次のステップに向けての準備も進めていることも今回のFOMC議事要旨からはうかがえる。

 政策の正常化の戦略についての議論では、フェデラルファンド金利を引き続き主要な政策金利とすることが望ましいとの認識を示した上で、FF金利を目標レンジに誘導するための主要な手段として超過準備の付利を利用する可能性を指摘し、翌日物リバースレポファシリティーの一時的な利用も寄与するだろうとの考えを示した。

 NHKではこのFOMCの議論を受けて、「ゼロ金利解除前倒し議論」とのタイトルで記事を掲載していた。テーパリング終了がいわば2006年の日銀で言えば量的緩和解除となり、次のステップの利上げは当時の日銀でいうところのゼロ金利解除となる。確かにゼロ金利解除のほうが日本人にはピンとくるかもしれない。FRBのゼロ金利解除も正常化に向けての第一歩となる。量的緩和解除はあくまでそのためのひとつの準備段階に過ぎない。

 イングランド銀行は早ければ年内、もしくは来年1~3月あたりを利上げのタイミングの目安にしているのではないかと思われる。FRBについては10月の量的緩和解除からそれほどの時を置かず、イエレン議長の失言とされるものにもあった半年後がひとつの目安になると考えている。そうであれば来年4~6月あたりがFRBのゼロ金利解除の予想時期になるのではなかろうか。1年以上も時期を空けることのほうがむしろ考えづらい。このあたり、2006年の日銀の動向も参考になると思われる。

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by nihonkokusai | 2014-08-22 09:42 | 中央銀行 | Comments(0)
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