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過去の債券バブルの崩壊例

 日本の債券市場では、これまで大きな価格の変動、特に相場下落の事例はいくつか存在している。古くは1979年のロクイチ国債の下落があったが、1998年末の運用部ショック、2003年のVARショックと呼ばれた債券相場の急落が、業界関係者には有名である。しかし、債券バブルの崩壊例としては1987年の事例がある。

 債券市場や為替市場での大きな節目となっている年がいくつか存在している。そのひとつが1985年である。この年、銀行による国債のフルディーリングも開始された。国債を大量に保有している都銀などの銀行が国債市場に本格的に登場することで、公社債の売買高は急増する。この年の10月には東京証券取引所に日本ではじめての金融先物市場が誕生した。長期国債先物取引(債券先物取引)が開始された。債券先物取引においては、東京証券取引所会員の証券会社だけではなく、国債を大量に保有している銀行の参入が、特別会員という資格で認められた。金融機関による国債のフルディーリングの開始と債券先物取引の開始により、国債の流動性が向上し債券市場は急速に拡大したのであった。

 1985年のプラザ合意後の急激な円高に対処するための、度重なる利下げによる未曾有の金融緩和に加え、公共事業拡大による財政出動が要因となり、株式市場などでもバブルが発生する。金融緩和や円売り介入などからの余剰資金が、設備投資などには向かわず、株や土地に向い典型的な資産インフレを引き起こした。円高対策のための日銀の金融緩和により、バブルを加速させる結果となり、これを受けて国債の価格も大きく上昇した。

 1986年11月に国債の指標銘柄になったのが10年国債の89回債であった。89回債はいわゆる野村軍団を中心として積極的な売買が仕掛けられ、債券のディーリング全盛期を迎えた。1987年4月には証券会社や都銀などが積極的に自己売買を繰り返した結果、公社債の店頭売買高はひと月で1000兆円を超えた。

 1987年2月に日銀は公定歩合を引下げて2.5%とした。5月14日に89回債は10年債でありながら、短期金利の代表的な金利でもあるこの公定歩合の2.5%に接近し、2.550%をつけた。ここで債券相場はピークアウトし、債券バブルは崩壊した。野村證券のチーフディーラーが、公定歩合が高すぎるとコメントしたことが、ひとつのきっかけとされた。

 債券バブルの崩壊で金融機関のみならず、事業法人でも大きな損失が発生した。1987年9月2日、タテホ化学工業が債券先物で286億円もの損失を出したことが明らかになり、このニュースで債券相場は暴落した。いわゆるタテホショックである。債券先物は1987年5月13日に118円59銭という高値をつけていたが、10月5日には94円59銭まで下落した。5か月あまりで実に24円もの下落となったのである。

 この債券バブルの崩壊の原因は、国債の流動性が強化され、債券市場関係者が総ディーラーになったのかといわれるほどのディーリング相場が形成されたのが大きな要因であった。しかし、結果としてそのディーリング相場を主導したところが、崩壊のきっかけを作ったことも確かであった。

 現在の債券市場がバブルであるかどうかは弾けてみないことにはわからない。しかも市場参加者主導ではなく、日銀主導の相場形成となっている。それならば、もし債券バブルの崩壊が生じるとすれば、日銀の動向がきっかけになるであろうことも確かである。どのようなきっかけとなるのかはわからない。追加緩和かもしれないし、出口政策かもしれない。しかし、いずれ大きな相場変動が起きるであろうことは確かかと思われる。

 ちなみに1987年の債券バブルの崩壊は意外な出来事でいったん収まることになる。この年の10月19日のブラックマンデーである。

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by nihonkokusai | 2014-08-21 09:20 | 債券市場 | Comments(0)
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