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債券先物の日中値幅が1988年以来の記録的な小ささに

 8月18日の債券先物の日中値幅は4銭しかなかった。これほど小さい値幅はあまり記憶がなかったため、少し過去の値幅を調べてみた。確認しておくと、債券先物とは大阪取引所に上場している長期国債先物であり、その値幅とは中心限月の前場と後場の、高値と安値の差のことである。イブニング・セッションの値動きは前営業日の夕方から夜間にかけてのものとなるため、これは含まない。

 長期国債先物のデータは、債券のディーラー時代に後輩と共同して、1985年の上場来の前後場の四本値、出来高のデータをすべてエクセルに打ち込む作業を行った。それを現在まで継続させているため、手元にデータが存在する。ただし、すべて手作業ということで誤入力している可能性もあった。このため、今回知り合いの市場参加者の方にも確認していただき、過去のデータから日中値幅の小さいものを出してみた。

 長期国債先物については流動性は極めて高く、取引時間中はほぼ値動きがある。出来高も1億円単位で少なくとも1兆円程度はある。日経平均先物やドル円と同様の流動性が存在していると考えてよい。ちなみに昨年1月から12月までの債券先物の日中値幅の平均は32銭となっていた。

 1985年10月の上場以来の債券先物の最小日中値幅はゼロ銭である。これは東証上場直後に起きていた。1985年10月25日と26日、つまり先物上場後6・7営業日目に取引高ゼロ、値幅ゼロ銭を記録していた(26日は土曜日で当時は半日立会)。翌営業日となる28日も取引高はわずか475億円で値幅はゼロ銭となっていた。

 1985年9月22日にプラザ合意があり、日銀は10月25日に短期金融市場を操作して第二の公定歩合といわれた短期金利の高め誘導を実施した。短期金利を高くすることで、ドル売り・円買いの動きを誘ったのである。債券先物にとってこれは最悪のタイミングであった。短期金利を無理やり上げたことで、長期金利にも上昇圧力が加わり、債券が売られる展開となったのである。債券先物に大量の売り注文が殺到。債券先物はスタートしたばかりであり、ご祝儀による大量の買いポジションを抱える証券会社が多かった。1985年10月24日の債券先物は101円63銭で引けていたが、25日、26日は値が付かず、ストップ安で張り付いたままとなった。28日にようやく96円63銭で寄り付いたが、値幅はゼロであったのである。

 このようにストップ安やストップ高を背景に、値幅ゼロ銭というのは、ほかにも1986年1月25日にもあった。土曜日で半日立会で取引高520単位あったが、99円74銭の1本値。前日比で1円高となっており、このころのストップ高安は1円値幅であったと思われる。日銀の公定歩合の引き下げに絡んでのストップ高ではなかったかと推測される(残念ながら当時の記録が手元にない)。

 1987年8月4日にもゼロ銭があった。先物の出会いは午後のみ、101円72円の1本値、取引高は16858億円。この日は前日比2円安となっており、やはりストップ安が原因と思われる。1987年5月に10年89回債が2.55%をつけて債券バブルが弾け、9月にはタテホショックが発生している。この日の記録も手元にないが、タテホ絡みでの動きであった可能性がある。

 以上が債券先物の日中値幅の最低記録ゼロ銭となったケースである。都合5日、ゼロ銭との記録が残っている。

 次に小さい値幅は1988年8月10日の3銭であった。四本値は寄り付きが101円00銭、高値101円03銭、安値101円00銭、引けは101円00銭、取引高は25158億円。前日比でみると2円安となっていた。これもストップ安が絡んでいた。なぜこの日がストップ安となったのか、残念ながら記録がない。もしご存じの方がいらしたら教えていただきたい。

 その次の記録が、今回の2014年8月18日の4銭となる。今回はストップ安・ストップ高は絡んでおらず、お盆休み明けの月曜日であったとはいえ、まさに記録的な出来事であったということができる。

 なぜこれほどまでに債券先物の日中値幅が小さくなってしまったのか。一番の要因は言うまでもなく日銀の量的・質的緩和による大胆な国債買い入れがある。さらに欧米での長期金利がフォローとなり、日本の長期金利もじりじりと低下し、コストなどを考慮すれば下限と意識されていた0.5%~0.6%近辺で張り付いてしまったことによる。日銀の国債買い入れにより流動性が後退したというひとつの表れでもある。

 この債券先物の記録的な値幅の意味するものとは何か。日銀の異次元緩和の副作用ともいえるものだが、中央銀行の金融政策は結果として国債買いにつながり、異常な相場を形成しているともいえる。このまま債券の値動きはなくなってしまうのか。債券市場の機能低下が続き、市場参加者も減っていくようであれば、もしもの際のショックアブソーバーがなくなることを意味する。国庫短期証券を加えると約1000兆円近い国債が存在する以上、流動性の高い債券市場を存続させておく必要があるが、どうもそれが怪しくなりつつある。これはつまり、いずれ何かしらの大きな反動が起きうることも意味していると思われる。

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by nihonkokusai | 2014-08-20 08:02 | 債券市場 | Comments(0)
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