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日本の長期金利の低位安定はいつ始まったのか

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 いまさらながらではあるが、過去の長期金利の推移と長期金利に影響を与えそうなものの推移をいくつか比較してみた。

 たとえば国債の発行残高と長期金利を比較してみたところ、かなり相関があるように見えた。国債の残高が増えるほど長期金利は低下しているのである。これだけをみると国債の残存額を増加させれば長期金利は低下するという奇妙な定義が見出せる。むろんそのような定義は成り立つはずはない。むしろこれだけの発行残高があっても長期金利は低位安定しているという事実を示している。その背景に何があるのか。

 日銀はデフレ脱却のためとして物価目標を設定した。長期金利の低下にはデフレが大きく作用したとの見方もある。それでは消費者物価指数や企業物価指数と長期金利を比較してみると、関係性は見出せないのである。これはここにきて物価が上昇しても長期金利が上がらない事実からも明らかである。

 名目成長率と長期金利の比較では、さすがに関連性がうかがえる。しかし、こちらも最近では名目成長率が上昇しても長期金利は上がってこない。これは日銀の異次元緩和による大量の国債買入が影響しているとの見方もあるかもしれない。つまり日銀の金融政策が長期金利に与える影響が大きいということになる。

 そこで長期金利と日銀の政策金利を比べてみたところ、その傾向にはかなり関連性がうかがえた。日銀の政策金利は1999年2月のゼロ金利政策あたりから一時的に多少上がることはあっても、ほぼゼロ近傍(0.1%から0.15%)で推移していた。ゼロ金利政策の間には、量的緩和や包括緩和、量的・質的緩和なる政策はあったが、その間の政策金利はゼロ近くに張り付いていたことになる。その間の長期金利も2%以下で張り付いていたのである。

 この政策金利の動向、さらに発行額が増加してもそれを買い入れる投資家ニーズの存在が超低位の長期金利を形成していると思われる。そして、市場参加者の間では長期金利には財政リスクプレミアムはまったく意識されていない点にも注意する必要がある。

 長期金利の推移をみてみると、ひとつの変化点が伺える。それは低下前のピークとなった1990年とそれからの低下トレンドがいったん収まった1998年である。

 長期金利が急低下したのは物価の下落などが原因ではなく、バブル崩壊による日本経済の構造変化に要因が求められよう。

 国債に資金が集中しやすい環境のなかで、バブル崩壊後の景気の悪化もあり国債発行は急増した。さらに1998年には日本国債の格下げもあった。この格下げそのものも長期金利のデータと比較したところ、まったく関連性は認められない。ただし、1998年には格下げとともに日銀の金融緩和もあって長期金利の1%割れがあり、そこに国債の大きな買い手であった資金運用部の国債購入額の減少というニュースが飛び込み、国債が急落するという資金運用部ショックが起きた。

 この運用部ショックが国債管理政策の強化に繋がり、それがさらに長期金利の低位安定に繋がったといえる。

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by nihonkokusai | 2014-07-09 09:47 | 債券市場 | Comments(2)
Commented by Maaaaaac at 2014-07-09 15:23 x
直近の動きは(ここ2・3日)数か月あるいは昨年4月3日以降の0.6%近傍での動きという理解で良いのでしょうか?
何か、一段下に・・・(0.6水準ではなく0.55水準)  この差に意味は?
Commented by nihonkokusai at 2014-07-10 14:51
0.54%をつけて0.6%近傍とは言いづらい水準にまで低下しております。一時的なものと見てはいるのですが・・・。
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