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ECB理事会の議事要旨の公表は画期的

 7月3日に開かれたECB政策理事会では、主要な政策金利は据え置かれ、予想通りの現状維持となった。長期リファイナンスオペ(TLTRO)について、今年は9月18日と12月11日に実施し、2015年3月から2016年6月には6回実施すると表明した。

 さらにこれまで毎月開催している理事会を、2015年からは6週間ごとの開催に変更するとし、理事会の「議事要旨」を公表するとした。

 これまでECB政策理事会の議事要旨および議事録は公表されていなかった。政策決定に関する各メンバーの投票結果についても公表されていない。これは、各国を跨いだ中央銀行という特殊性が意識されてのものとされた。しかし、透明性の強化という意味で、議事要旨の公表に踏み切るようである。これはECBにとって大きな決断であったと思われる。

 ちなみに日銀では金融政策決定会合の約1か月後に議事要旨が発表され、さらに10年後には議事録が公表される。議事要旨とは会合での発言内容をまとめたものであり、具体的な発言者の名前などは記されていない。それに対して議事録では、会議中の発言内容がそのまま発言者の氏名とともに記されている。

 FOMCでは議事要旨(Minutes)は会合の約3週間後に、議事録(Transcript)は5年後に公表される 。

 イングランド銀行のMPCの場合は、会合の2週間後に議事要旨が公表される。政策決定に関する投票結果は、この議事要旨において公表される。イングランド銀行ではMPCの議事を録音、それを活用して議事要旨を作成しているそうだが、数週間後の議事要旨公表とともに録音テープは破棄されていた。つまり議事の様子を一語一句記した記録は保存されていなかった。このためイングランド銀行はMPCの議事録を作成・公表することの是非を検討する作業部会で検討するようである。

 中央銀行の議事要旨や議事録は、金融政策の決定の過程をみるための重要な資料となる。先日、その金融政策の決定を巡る動きで興味深い事例があった。

 スウェーデンの中央銀行、リクスバンクは3日に政策金利を引き下げたが、この際に利下げ幅を巡って意見が異なる総裁が反対票を投じた。0.5%の利下げが決定されたのだが、イングベス総裁は0.25%の引き下げを求めた。つまり総裁はこの案に反対し、自らの提案は否決されたことになる。リクスバンクが独立した1999年以降、総裁が少数派となったのは初めてのケースとなるそうである。

 世界の主要の中央銀行の金融政策はほとんどが合議制を採用している。つまの多数決である。ただし、FOMCでは議案を提示できるのは議長一人だけといったように政策決定へのプロセスは微妙に異なる。

 日銀では政策委員はそれぞれ議案を提出することができるが、金融政策の変更の際には通常、議長提案によって行われる。議長は会合における政策委員の意見をまとめるかたちで議長案を作成し、政策委員のコンセンサスをとりまとめて、少なくとも賛成多数によって議長案が可決されることを見極めた上で行われる。もし議長以外の政策委員の意見が仮に真二つに割れた場合などは、まさに4対4ということになり、2008年10月31日の決定会合で現実に4対4となるが、その際は議長案で決定される。このように日銀では議長が少数派になることは余程のことがない限り考えづらい。

。それに対してイングランド銀行のMPCでは、採決にあたって頻繁に反対票が見られた。しかも、総裁自身が少数派となってしまったこともあった。今回、リクスバンクで総裁が少数派に回ったと言う結果をみると、中央銀行の最古参であるリクスバンクとイングランド銀行は各委員が自己の信念に基づいて正直に投票するという信念を貫いているかに思える。ただし、イングランド銀行は総裁がキング氏からカーニー氏になってからは微妙に変わってきたように思われる。

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by nihonkokusai | 2014-07-07 08:17 | 中央銀行 | Comments(0)
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