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地政学的リスクとは何か

 地政学的リスク(Geopolitical risk)は、地政学リスクとも呼ばれる。ある特定地域の政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりが、世界経済の先行き、というよりも足元の金融市場を揺るがすような時に使われる。

 地政学的リスクとの用語は、FRBが2002年9月に米国のイラク攻撃に対して使用して以来、市場で認知されたようである。地政学リスクとしては地域紛争の勃発とテロの脅威が代表として挙げられる。過去に地政学的リスクとして認識されたのは、イラクやイラン、イスラエルとパレスチナ問題、アフガニスタン、さらに北朝鮮の核問題などである。

 最近になって地政学的リスクとして取り上げられるようになったものに、ウクライナ情勢とイラク情勢などがある。ウクライナ情勢とは、ウクライナ国内でのロシア派と欧米に近い反ロシア派の対立によりクリミアが独立し、さらにウクライナ東部でも分離独立を目指す動きが出ており、そこにロシアも介入し国際問題化したものである。

 イラクに関してはスンニー派とシーア派の宗教対立である。アメリカが3年前に軍を完全撤退したことで、政府軍は火器、戦闘能力で上回る過激派組織に太刀打ちできなくなったことで軍事力の均衡が崩れ、内戦のような状況となっている。

 ウクライナ問題はロシアと欧米諸国の対立とともに、経済的にはウクライナを経由したロシアからの天然ガスの供給問題などが絡んでくる。ロシア国営ガス会社ガスプロムが6月に16日、ウクライナへの天然ガスの供給を停止した。これによる欧州へのガス供給に支障は出ていないが市場では地政学的リスクが意識された。

 イラク問題では6月18日に激しい戦闘が起り、イラク最大の製油施設、バイジ精油所が閉鎖された。これによる原油価格への影響が懸念された。ただし、実際には世界的に原油の備蓄は十分にあるため、原油の供給に直接的な影響が出ているわけではない。それでもその懸念だけで相場は動いた。

 地政学的リスクとは、現実に世界経済に直接影響を与えるケースもあるが、影響は出ていなくても懸念だけで相場が動くこともあり、現在のウクライナやイラクの情勢は後者の状態にある。ただし、相場の振れ方によっては、思惑的な動きも相場の動きを加速させることもありうる。相場が動いたことによって、地政学的リスクが高まったとの認識がもたれることもある。

 地政学的リスクと一括りにされている用語は、現実の影響についても吟味する必要がある。先行きの不透明感が強い分、思惑的な動きも入り安く相場の変動要因ともなりうる。ただし、思惑先行となる分、経済に影響が具体的に波及するようなことがないと、そのポジションは相殺され何事もなかったかのような結果となることも多い。

 現在のウクライナとイラク情勢についてもリスクは抱えており、ロシアや欧州、そして米国政府も巻き込んでいる。しかし、石油危機のようなショックをもたらすほどのものではないとも思われ、あくまで地政学的なリスク要因のひとつとして捉えておく必要があるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2014-07-01 18:49 | 国際情勢 | Comments(0)
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