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日銀の追加緩和期待はさらに後退

 日銀は余程の軌道修正を行わない限り、追加緩和は難しいと思われるが、いまだに日銀の追加緩和期待は根強いものがある。その追加緩和期待の背景のひとつは、消費増税による景気減速に伴うものであろう。もうひとつ、物価目標への達成が困難になりそうなケースも想定された。もちろん内外の予想外のショックによるもの、たとえば新たな金融ショック、地政学的リスク、地震のような災害等による可能性もあるが、これは例外的なケースとなる。

 日銀の黒田総裁は23日の経済同友会懇談会における講演で、「わが国経済は、2回の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想しています」と述べている。

 4月の消費増税の影響についても発表されているハードデータを見る限り、日銀が予想していたように大きな落ち込みとはなっていない。消費の基調的な底堅さは維持され、個人消費の底堅さは維持されるとの日銀の見方は、ほぼコンセンサスに近いものではなかろうか。

 この黒田総裁の発言で注意すべきはむしろ「2回の消費税率引き上げ」の部分かもしれない。政府に対して2回目もしっかりやってほしいとの期待というか暗黙のプレッシャーを掛けているようにも思える。

 もうひとつの物価目標への達成が困難になりそうなケースに関してであるが、これについても黒田総裁は次のような発言をしている。

 「これから夏場に向けては、前年比プラス幅が一旦1%近傍まで縮小するとみられます。その後は、基調的な物価上昇圧力が引き続き強まっていく中で、本年度後半から再び上昇傾向をたどり・・・」

 今後の消費者物価指数の予想については、円安などによる影響が剥落してくるため、これまでの上昇基調のトレンドが変化するとみられている。これについては27日に発表される5月の全国消費者物価指数をまず確認したい。5月のコアCPIはプラス3.4%あたりの予想となっており、4月の3.2%からは上昇するとみられている。ただし、5月以降は消費増税の影響が2.0%程度あると日銀は試算しており、それを除くと1.4%となり、4月の1.5%から上昇幅は縮小との予想となっている。

 さらに夏場に掛けて、消費増税の影響を除いた全国のコアCPIは1%あたりまで低下すると日銀は予想しているようである。このあたりも今回の黒田総裁の発言内容からみれば、想定の範囲内としている。その後「基調的な物価上昇圧力」により、今年度の後半、つまり秋から冬にかけて再び上昇トレンドとなると見込んでいるようである。

 この発言から見る限り、少なくとも物価目標の達成が難しいとの理由での追加緩和の可能性は極めて低いと言わざるを得ない。たとえコアCPIが1%程度まで落ち込んでしまっても、そこから2%への引き上げを狙って何かしらの追加緩和を行うつもりはないともとれる。

 現実に日銀のシナリオ通りに、今年度後半から物価が目標値に向けて上昇してくるかどうかについては不透明である。少なくとも期待に働きかけての物価上昇という経路についての疑問は残る。ただし、英米が利上げに向けた準備をしているように、欧州はさておき世界経済のフォローもあれば、日本の景気そのものが回復基調となり、その分、価格転嫁の動きなどが強まることも予想される。期待による働きかけはさておき、すでにコアCPIが1.5%というところまで来ている実情からみても、2%近くまでの物価上昇の可能性は否定できない。物価目標達成のための追加緩和については、少なくとも年内は想定できず、年度内についても可能性は極めて低いと予想される。

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by nihonkokusai | 2014-06-25 08:56 | 日銀 | Comments(0)
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