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4つの中央銀行の異なった政策とその影響と効果

 6月5日にECBは追加緩和パッケージを発表した。ECBのクーレ理事は7日に「非常に長い期間、数年にわたってユーロ圏の金融情勢が米国、英国と異なることは明らかだ」とし、「われわれは極めて長期間、金利をゼロ近くに維持する。米英は利上げ局面に入るだろう。それは市場参加者にとって決定的な要素だ」と述べた。

 イングランド銀行のカーニー総裁は12日のロンドンのマンションハウスでの講演で、今後のイングランド銀行の利上げに関して、「市場が現在予想している時期よりも早く起こる可能性がある」と指摘した。

 イングランド銀行は2009年3月5日の金融政策委員会(MPC)において政策金利を0.5%に引き下げるとともに、量的緩和策として英国債を買い入れる方針を発表した。この際の量的緩和の手段とは2009年の3月から11月の間に総枠2000億ポンドの資産(対象は主に英国債)を購入するというものであった。その後はこの買い入れる総額を引き上げる形で追加緩和を行ってきた。

 失業率の改善等を受けて、イングランド銀行の次の手は資産買入枠の増加という緩和策から、過去最低の0.5%に据え置いている政策金利であるレポ金利の引き上げ、つまり引き締め策に移ってきた。

 米国FRBの追加緩和は、米国債とMBSの買入という形で行ってきたが、これはイングランド銀行とは異なり、毎月の米国とMBSの購入額をターゲット手段としてきた。このため、FRBは緩和政策から反転するためには、この買入を停止しなければならず、そのためにテーパリングという徐々に減少させる手段を講じることになったのである。

 イングランド銀行もFRBもいずれ膨れ上がったポートフォリオをどう削減させるのかという問題が出てくるが、それはあとの問題であり、イングランド銀行はいつでも利上げが可能の状態にある。FRBもテーパリングが市場への波乱要因とはならない状況も鑑みて遅くとも10月あたりまでに終了させて、利上げの準備段階に入ると予想される。

 日銀は買入総額に加えて毎月の購入額や残存年数まで数値目標のように出してしまったために、毎月の国債買入額を修正せざるを得なくなるなどしていたが、仮に出口に向けた動きを取る際には、FRBのようにすぐに利上げというわけにいかない。

 ECBについてはFRBや日銀のような形式での国債買入等は選択せずに、ある意味伝統的手段のもとでの利下げという選択を行っており、もし出口を意識した際には、イングランド銀行のようにすぐに動ける状態にある。

 ここで一点注意すべきことがあり、イングランド銀行と日銀は国債などの買入について量的緩和との用語を使っているが、FRBはQEと称されているが厳密には量的緩和ではないとしている。あくまで長期金利の低下を促すことが目的であり、日銀のように物価を目標値に誘導させるためというものと目的そのものが異なる。FRBは過去に量的緩和の効果について効果が薄いことをコメントしてしまった手前(2008年12月のFOMCなど)、このような格好になったものと思われる。

 量的緩和とはいったい何であったのか。日銀は真っ最中であるが、FRBは止めようとしており、イングランド銀行は利上げ段階に入りつつある。ECBはドイツ連銀のバイトマン総裁の反対などもあり量的緩和とは異なる選択をした。これらの選択が市場などにどのような影響をもたらすのか。今週は17日、18日にFOMCが開催される。4つの中央銀行の異なった政策とその影響と効果、さらにはそこからの出口政策はかなり興味深い事例となりそうである。

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by nihonkokusai | 2014-06-17 09:35 | 中央銀行 | Comments(0)
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