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中央銀行の預金口座とオレオレ詐欺

 12日付けの読売新聞によると、茨城県警水戸署は11日、水戸市の85歳の女性が4700万円をだまし取られる詐欺被害に遭ったと発表した。今年3月3日頃に女性方に「金融政策課」を名乗る男から「日本銀行に預貯金を預け替えた方が利率がいい。水戸地区の担当者に電話して」と電話があったそうである。これを真に受けてしまい。数回にわたり現金を宅配便で送ったり、市内のATMから送金してしまったそうである。

 もちろんこれは「オレオレ詐欺」とか「母さん助けて詐欺」と称される詐欺事件である。このような詐欺事件は後を絶たず、被害金額は拡大しているようで、隙を与えないための施策を講じることも重要かと思われる。常日頃、家族内でお金に関わる電話があった際には、いったん別の家族なりに相談を持ちかける、知らない人から儲け話を持ちかけられたら、こちらも第三者に相談することなど、事前に打ち合わせておくことも重要と思われる。

 また、金融リテラシーと呼ばれる金融の初歩的知識を身につけておくだけでも、このような詐欺に引っかからないで済むかもしれない。日銀は公的機関ではないが、それに近い組織であり、個人に向けた営業などは行っていない。これはある程度の金融知識があればわかるはずである。何より日銀に個人は口座は開けない。こ黒田日銀総裁も給与は民間金融機関の口座に振り込まれているはずで、総裁であれ日銀に個人名義で口座は開けない。

 ただし、この犯人はひとつだけ正しいことを伝えている。「日本銀行に預貯金を預け替えた方が利率がいい」という点である。もちろん定期預金は民間金融機関の方が高いと思われるが、民間金融機関の普通預金や当座預金の金利より、日銀の当座預金で必要額以上に積む分、いわゆる超過準備に0.1%の金利が付いており、こちらの方が確かにお得である。もちろん犯人がそこまで知っていたのかどうかは定かではない。

 その超過準備について、日銀とECBは同じ金融緩和策において異なる政策を行っている。日銀は超過準備の0.1%という付利を残すことでマネタリーベースを増加させ、物価上昇への期待を強め、物価を目標値に引き上げる政策をとっている。

 これに対してECBは、その超過準備にマイナスの金利を付けてきた。ECBの狙いも物価の上昇や、それを援護するユーロ安であるが、何故、日銀とは真逆の政策を取ったのか。

 どちらか正しいとか、正しくないとかの問題では実はない。いずれの政策も結果として国債が買われることとなり、長期金利低下を促した。市場に働きかけることが最大の目的とみられる。資金が貸出等に向かうかどうかは、資金を使う側の問題であり、ここの需要を喚起する事が本来は重要であるが、それを金融政策で直接働きかけることは難しい。

 これについては日経電子版の「市場に「お告げ」 シャーマン化進む中央銀行」というタイトルの加藤出氏のコラムでも触れている。たとえば加藤氏は「FRBのエコノミスト、J・H・ロジャースらが今年3月に発表した論文は、主要中央銀行が近年行ってきた大規模な証券買い入れ策は、短期的には資産価格に影響を与えたものの、その効果は時間が経つにつれ消えてしまった、と結論付けている」としている。

 そういえば黒田日銀総裁は、「非伝統的金融政策の実践と理論」という興味深いタイトルの講演のなかで、「グローバル金融危機後に実施されたFRBとイングランド銀行による長期国債の大量買入れは、その後の研究で効果的であることが実証されており、中央銀行の実践が理論の発展に先行した例であると理解しています。」とコメントしていたが、J・H・ロジャース氏の論文とかは見落としていたのであろうか。

 加藤氏は現在の日銀の異次元緩和を「ニセ薬効果」と指摘していたが、実際に効くか効かないかはさておき、日銀もECBも市場の期待に働きかけるという、見えないものへの期待が強い政策であり、オレが何とかするから資金を中央銀行の口座に置け(日銀)、置くな(ECB)というものである。

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by nihonkokusai | 2014-06-14 10:56 | 日銀 | Comments(0)
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