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米長期金利の乱高下の謎

 5月29日に米国の10年債利回り、いわゆる長期金利は一時2.40%まで低下した。米国の長期金利ばかりではなく、28日にベルギーの長期金利も1.86%と過去最低水準をつけ、ドイツの長期金利は1.34%に低下した。英国の長期金利も2.55%に低下するなど、欧米の長期金利は軒並み低下した。

 この欧米の長期金利低下の要因は、ECBの追加緩和期待によるものと思われる。特に世界的なリスクが高まっているわけではなく、欧州ではスペインの長期金利も過去最低を記録するなど周辺国の長期金利も低下していた。米国債だけの動きであれば、米国内の要因による動きの可能性はあるが、買われる時も売られるときも、米国、ドイツ、英国の国債の動きがほぼ一緒であることをみると、同じ材料をもとにして動いている可能性が高い。「噂で買って事実で売る」との相場格言があるが、ECBの追加緩和観測を元に欧米の国債買いを仕掛けていたヘッジファンドなどがいた可能性がある。

 米長期金利は2.5%という節目を割り込んできたことで、テクニカル上のショートカバーの動きが入り、さらに低下してくる可能性もあるかと見ていたが、「まだはもうなり」という格言のような動きとなった。米長期金利は29日の2.40%が底となり、それ以降は反発している。どうやら事実がはっきりする前に、ヘッジファンドは米債などのロングポジションを早めに外してきたのではなかろうか。

 欧米の債券は仕掛的な動きに翻弄されているが、これはアベノミクスの登場の際のヘッジファンドの仕掛とも相通じるものがある。ただし、ECBの追加緩和については、アベノミクスほどのリフレ感が漂うものではなさそうである。

 ECBは小幅利下げでマイナス金利を強調した上で民間企業への貸出促進策など何かしら加えるパッケージに止める可能性がある。預金ファシリティ金利をマイナスとしても、当座預金の超過準備に付利がなされないという状態が継続すれば、量的緩和も技術的には可能となる。ただし、量的緩和手段としては域内国債の買入が主体となりそうだが、これについてはドイツ連銀のバイトマン総裁が反対している。

 継続的な追加緩和も意識するのであれば、黒田日銀方式のバズーカではなく、音は大きくなくても連射が可能な砲弾を撃ってくる可能性が高い。ディスインフレへの懸念、多少修正されたものの高止まりしているユーロ等を考慮し、今後の追加緩和への期待感で市場を誘導しようとする可能性がある。ただし、これもあくまで推測に過ぎず、現実に何をしてくるのかは5日の理事会を待たなくてはならない。

 ドラギ・マジックは今回も通用するのか。市場では今回はマジックと呼ばれるほどの効果はないとの見方も出ており、その結果として欧米の長期金利の乱高下を招いた可能性もある。5日に向けた予行練習は行ってしまった格好だが、昨年4月の日銀の異次元緩和後に日本の長期金利が乱高下した如く、欧米の長期金利も理事会後に大きく動く可能性もある。欧米の長期金利の動きは、日本の長期金利にも多少の影響はあったが、円債はほとんど動じておらず、それによる影響は限定的であった。しかし、為替などへの影響も考慮すると今後の欧米の長期金利の動向も要注意となる。

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by nihonkokusai | 2014-06-05 09:19 | 債券市場 | Comments(0)
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