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リスクオフのような市場の動きの背景

 14日の欧米の債券市場では、ECBの追加緩和観測の強まりに加え、イングランド銀行の利上げ時期が予想より後ずれかとの見方から軒並み国債に買いが入り、イタリアやスペインの長期金利は過去最低を更新した。ドイツや英国、そして米国債も買われた。

 15日に発表された1~3月期のユーロ圏の域内GDP速報値が市場予想を下回り、ECBが15日に公表したユーロ圏経済に関する第2四半期の専門家予測調査(SPF)では2016年のインフレ率予測が下方修正された。

 ところがECBの追加緩和観測よりも、GDPの数字が嫌気され、米国株式市場が大幅安となっていたこともあり、15日の欧州の株式市場は大きく下落した。米国の株式市場の下落は特に材料が出たわけではなく、四半期決算で利益が市場予想に届かなかったウォルマートが下げ、小型株の下落なども影響したとされる。ダウが過去最高値を更新するなど高値圏にいたことでの利食い売りが入り、大きな下げに繋がった。

 この株の下落もあり、15日の欧米市場ではECBの追加緩和期待よりも、リスクオフのムードが強まることとなった。米国やドイツ、英国の国債が大きく買われたのもその動きを示したものと思われる。ドイツの10年債利回りは一時1.3%割れとなり、英国の10年債利回りも2.52%近辺に低下した。さらに米10年債利回りは2.5%を割り込んでいた。外為市場では円高が進み、これもリスクオフの動きと言えるのではなかろうか。

 どうやら相場は動きを見せ始め、ちょっとした材料に反応しやすい地合になりつつある。何かしらのシナリオが見えてきているわけではなく、これからシナリオを形成しようかとの動きのようにも映る。

 15日のリスクオフムードの強まりの背景にはギリシャがあった。ギリシャは世論調査で連立政権が支持を失いつつあることが示され、政権崩壊かとの観測も出ていた。ギリシャ国債を保有する外国投資家にキャピタルゲイン税が過去に遡って課税されるとの警戒感も出ていたそうだが、これについてギリシャ財務省は遡及的に課税することはないと説明した。

 ギリシャが再び危機的状況に陥る可能性はそれほど高いとは思えない。ただし、欧州の信用不安の後退に加え、ECBの追加緩和観測でイタリアやスペインの10年債利回りが過去最低を更新し、ギリシャの国債も同様に買い進まれるなど、やや行き過ぎの面もあった。このため欧州の周辺国の国債も米国株式市場同様に高値波乱の様相を示し始めたと思われる。

 米国株もユーロ圏の周辺国の国債も、特に好材料が出ての高値更新というわけでなく、悪い材料がないなかでの過去最高水準(利回りは過去最低水準)をつけており、ある意味バブル的な動きとなっていた。その反動が起き、リスクオフのような動きとなっていた。

 そして今度は何かしらのリスクが高まっているとも思えないなかで、米国やドイツ、英国の国債が買い進まれている。その流れに多少乗って日本国債も買われ、10年債利回りは0.6%を割り込み、債券先物も直近の戻りを試している。

 米10年債利回りの2.5%は大きな節目と思われる。昨年6月21日にバーナンキFRB議長による緩和策縮小への発言で2.5%台に乗せてからは、ここを大きく割り込むことはなかった。米10年債利回りの低下はこの水準あたりまでと思うが、もしさらに一段と低下するようなことがあると状況が変わる。

 目に見えるリスクが存在しないなかでのリスクオフのムードは単なる相場の調整なのか。それとも現実に何らかのリスクが背景に存在するのか。ECBの追加緩和そのものが相場の攪乱要因となるのか。そのあたりを見極めないことには、手が出しにくい相場となっている。為替市場を含めて不安定な動きが続くとなれば、追加緩和の有無はさておき、来週の日銀の金融政策決定会合も要注意となる。

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by nihonkokusai | 2014-05-17 08:22 | 債券市場 | Comments(0)
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