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10年新発債の売買のない日があった2000年と2014年の類似性

 4月14日の債券市場で、めずらしい現象が起きた。日本相互証券で直近で入札された新発の10年利付国債(現時点では4月1日に入札された333回債)の売買がゼロであったのである。通常であれば少なくとも数百億円程度の売買はあるものの、それがゼロというのは極めて珍しい。 日本相互証券での新発10年債の売買がゼロであったのは、日経新聞によると2000年12月26日以来、約13年ぶりであるとか。

 現在の10年債利回りは0.6%近辺にいるが、0.6%割れは高値警戒も強く買いにくい。これは2013年4月の日銀の異次元緩和前の10年債利回りの水準が意識されているとの見方もあるが、絶対水準としての0.6%という利回りは魅力に乏しい。さらに物価や成長率などを見ても0.6%はあまりに低いとの見方もあろう。それに比べてまだ利回りの高い超長期債には押し目買いの余地もあるとの見方もできる。

 ただ、ここから売るとしても売りにくい。ここにきて日本株も含めて調整局面となり、円高も進んでいた。日銀が大量に国債を購入しており、需給は非常にタイトとなっている。つまり、売りも買いもしづらいという状況で生まれたのが「新発10年国債の売買がなかった日」ということになる。

 それでは前回、新発10年債の取引がゼロとなった2000年12月26日の要因は何であったのか、当時の状況を調べてみると意外な類似点があった。2000年12月26日の私の市況メモによると、「現物債の売買はほとんどなく先物の板もまるでイブニングセッションの様な状況に。日経平均が14000円トライとなったこともあり債券先物は反落」とあった。つまり、日経平均株価の居所が現在の水準に近いところにいたのである。

 ただし、10年債については現在の新発債の利率が0.6%なのに対し、このときの新発債の利率は1.8%もあった。債券先物は現在は145円近辺であったのに対して、当時は135円台となっており、このあたりには大きな違いがある。

 日銀の金融政策についてみてみると、日銀は2000年8月にゼロ金利政策を解除していたが、今回は前年4月に日銀は異次元緩和と呼ばれる大規模な金融緩和を行って1年が経過していた。方向性は異なっているものの、日銀の次の一手としては、市場では金融緩和・追加緩和が求められていた。2000年8月の日銀によるゼロ金利解除後に待ち受けていたのが、米国のITバブル崩壊だったのである。2000年3月にハイテク株を主体とするナスダック指数は高値を付けるが、その後急落し株価の崩壊のなかで、多くのIT関連ベンチャーは倒産に追い込まれることになる。

 ここにきての米国株式市場もナスダック指数を中心にやや異変が起きていた。いわゆるモメンタム銘柄とされるハイテク株などを中心に大きく下落していたのである。現在、米国がITバブルと同様の状態にあるわけではないが、ダウ平均やS&P500などが高値を更新し、ナスダック指数も2000年4月以来の高値をつけていたのである。なんと現在のナスダック指数は2000年当時と同じ水準にまで上昇していたことも、共通点としてあった。

 日経平均の水準やナスダック指数の水準が近いものとなっていたことが、債券の流動性低下に直接の関わりがあるわけではない。しかし、何ら関係性のないものでも、このあたりの類似性には注意しておく必要があるのかもしれない。

 日銀が量的緩和策を導入することになるのが2001年3月であった。2000年8月のゼロ金利解除は政府の反対を押し切って行ったが、結局、失敗ではないかとの見方が強かった。今回は反対に異次元緩和と呼ばれるような政策を行った。それはいずれどのように見なされるのか。現在の10年債の膠着状態は、2000年のときと同様に日銀が動けなくなってしまったことも、大きな要因のように思われる。2000年の際にはゼロ金利を解除したものの、次の手が打てなくなり、今回も異次元緩和を行ったが次の手が出せない状況にある(これについて、異論はあると思うが私はそう考えている)。

 歴史は繰り返さないが、偶然似たようなこと起きることがある。そのときに何があったのかを確認することも相場の先行きを予測するためには必要なことである。相場に必要なものは経験と勘である。その経験を養う上においても、2000年あたりから何が起きていたのかを再確認してみるのも面白いかもしれない。

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by nihonkokusai | 2014-04-20 10:42 | 債券市場 | Comments(0)
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