牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

流動性供給入札の応札義務の理由

 財務省の国債管理政策の一環として、国債市場特別参加者制度が存在する。これは日本版のプライマリー・ディーラー制度とも呼ばれているもので、指定を受けた証券会社や銀行に対し、一定の規模の国債の入札や落札、市場の状況等の報告が義務付けられる代わりに、一定の優遇措置が認められる制度である。

 財務省の国債市場特別参加者制度運営基本要領によると、国債の安定的な消化の促進並びに国債市場の流動性、効率性、競争性、透明性及び安定性の維持並びに向上等を図ることが国債市場特別参加者制度の主な目的となっている。

 国債市場特別参加者、つまりプライマリー・ディーラーとなった参加者に対しては責任が求められる半面、資格も得られる。責任としては、国債の入札で相応な価格で発行予定額の3%以上に相応する額を応札しなければならない。落札額も超長期国債・長期国債・中期国債についてそれぞれ1%以上、短期国債は0.5%以上の落札責任がある。また、国債流通市場に十分な流動性を提供することも求められている。毎週、自らのアウトライト取引(日計り売買)、債券先物取引、店頭オプション取引及び円金利スワップ取引等の取引の動向等について情報の提供が求められる。

 資格については、おおよそ四半期に一度開催される国債市場特別参加者会合(通称、PD懇)に参加することができる。ここで各年度の国債発行計画、各四半期の国債発行のあり方、国債に対する需要動向、国債の商品性のあり方、国債流通市場の動向等、財務省と意見交換等を行うことができる。

 3月12日の日経新聞朝刊一面に、国債取引増やし金利の乱高下を防ぐためとして、財務省が証券・銀行の応札義務付けを行うとの記事があった。これは上記の国債市場特別参加者制度に絡んだものと思われる。国債市場特別参加者は証券・銀行合わせて23社となっている。

 これまでは国債入札のうち、流動性供給入札に関しては、発行予定額の3%以上に相応する額を応札しなければならないとの義務はなかった。しかし、その流動性供給入札による発行量は増加してきており、来年度、つまり来月4月以降は現状の毎月6000億円の発行額が毎月7000億円に増加する。発行規模も大きくなってきたことで、こちらにも他の国債入札同様の義務を課すというものであり、国債取引増やし金利の乱高下を防ぐためというよりも、ほかの入札に合わせるといった面が大きいと思われる。財務省も特段、何かしら意図したものではないと思われる。

 ちなみに流動性供給入札の目的は、「特定銘柄の需給の著しい逼迫等の要因により国債流通市場の流動性が低下し、国債市場の機能が損なわれることを回避する観点等から、国債市場の流動性の維持および向上等を目的として実施する」ものである。

 つまり銘柄ごとに利率や発行量などの違いによって異なってくる国債の需給を安定させるための対策のひとつとなる。市場の人気が高く、さらに発行量が不足しているような国債の銘柄について、需給要因による利回りの大きな変動を防ぐ意味において、過去に発行した国債と同じ条件の銘柄を追加発行するというものである。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2014-03-14 09:14 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー