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2014年の市場を見る上での注意点

 2014年がスタートして1か月が過ぎ去ろうとしているが、なかなか波乱含みのスタートとなった。米国のダウ平均や日経平均、さらにドル円の動きを見て見ると、年を越えてからの動きがそれまでの動きと違ってきている。簡単に言ってしまえば、ダウ平均や日経平均は10月あたりかじりじりと上昇基調となっており、外為市場では円が売られドルが買われていた。ところが2014年に入ると、その基調に変化が生じ、戻り売りに押されることになり、途中からその値動きが非常に大きくなってきているのである。

 株式市場や債券市場の動きを見る際に、チャートと呼ばれるグラフを使うが、そのチャートをみると株高・円安のトレンドが崩れつつあることがわかる。材料はさておき、チャートだけでみると株式市場がさらに大きく下落し、円高が進行する可能性がある。

 それに対して債券市場はどうなっているかといえば、円高株安による年初からじりじりと上昇してきており、10年債利回りは年初に0.7%台にあったが、1月末にかけて0.6%近くまで低下してきている。これは米国債も同様であり、米10年債利回りは年初の3%近辺から、月末には2.7%割れまで低下した。

 いったい2013年と2014年では何が変わってきているのか。2013年の日本の金融市場を語る上でのキーワードはアベノミクスであろう。2012年12月の衆院選での政権交代により、安倍自民党政権への期待が強まり、特に安倍自民党総裁は日銀の大胆な金融緩和によるデフレ脱却を掲げた。すでに政権交代が意識されて2012年11月あたりから、急速な円安調整が入り、その円安により株が上昇した。安倍総裁の唱えた金融政策は黒田日銀総裁が、4月5日に決定した量的・質的緩和で実現した。これにより2年の間で2%の物価上昇を実現させるとしたのである。この金融政策を柱とする経済政策がアベノミクスと呼ばれた。

 日本ではこのアベノミクスが大きく騒がれてしまったことで、この円安株高や景気の回復、さらには物価の上昇がすべてアベノミクスの功績のように取られてしまった。しかし、そう結論づけてしまうと本質を見誤る。円安のきっかけとそれを加速させたのは確かに安倍発言であるが、それは円高調整がまさに起きようとしたタイミングでの発言であったのである。

 さらに2013年は欧米の景気も回復基調となっていた。たとえば2013年の経済成長率は1.9%で、2007年以来の大幅な伸びを記録していたのである。これはアベノミクスの成果なのか。当然そうではない。欧米の景気回復、さらには円高調整の背景にあったのは、世界的なリスクの後退なのである。これはギリシャやスペイン、イタリアの国債の動きをみるとあきらかである。

 2012年6月にギリシャの長期金利は30%超えとなっていたが、ここから下落基調となる。9月6日のECB政策理事会で償還期間1~3年の国債を無制限で買い入れることを決定したことも長期金利の低下に拍車を掛けた。2013年5月には10%を割り込んでいた。

 2013年はユーロ危機が後退した年であった。だからこそ日米欧の景気が回復し、株は上昇した。米国のFRBががテーパリングと呼ばれる量的緩和の縮小を開始したいとしたのも、世界的なリスクの後退が背景にある。テーパリングは非常時の金融政策からの脱却を意味するものである。

 そのような状況下にあって、日銀は2013年4月に異次元緩和と呼ばれた大胆な金融緩和政策を打ち出した。これが今後、何をもたらすことになるのか。実はこれが2014年の債券市場にとっての注目材料となる。

 2014年1月に入っての新興国通貨の下落も、その背景にユーロ危機の後退がある。ユーロ危機や日米欧の中央銀行による過剰なまでの金融緩和政策で新興国のリスクが覆い隠されていたが、それが表面化したのである。これが新たな世界的な金融リスクに発展することは現状考えづらいが、注意すべき要因のひとつとなる。

 さらに日銀が打ち出してしまった異次元緩和をどう決着を付けるのか。4月からの消費増税を受けての景気減速を意識しての追加緩和期待も根強いが、インパクトのある追加緩和を打ち出すことは無理がある。技術的にさらな国債買入を増加させることは可能ではあるが、それは財政ファイナンスと捉えられてしまう懸念も生じる。足下物価は円安の影響もあり、すでに1.2%に上昇しており、景気の回復も意識すると、0.7%程度の長期金利はかなり低い。この背景には日銀の国債買入による国債需給の引き締まりがあるが、需給だけで国債価格を維持させる、つまりは国債価格と反対に動く長期金利を低位に保つことは難しい。

 円安・株高基調が崩れてきたことは、債券市場にとっては買い要因となるが、今後は低位安定し続けている日本の長期金利が動き出すことも考えておく必要がある。あまりに長く日本の長期金利は低位安定してきたため、それが上昇するということがなかなか考えづらい。しかし、そういう状況が永久的に継続されるものでもない。すでに日本の国債発行残高が2023年度末に1千兆円を超えるとの財務省試算も出されているが、これだけの借金を維持するのは実はかなり綱渡りの面もあることも認識しておく必要がある。

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by nihonkokusai | 2014-02-04 06:53 | 債券市場 | Comments(0)
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