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1月のFOMCでの全員一致の背景

 1月28、29日のFOMCでは、国債などの買い入れ額を100億ドル減らし、2月から650億ドルとすることを決定した。昨年12月のFOMCに続き2回連続で債券買入規模の縮小を行う。縮小規模は前回と同額となり、長期国債を50億ドル減らして350億ドルに、MBSも50億ドル減らして300億ドルとする。

 今回の決定は10人のメンバー全員一致となった。1月のFOMCから連銀の投票権を持つメンバーが、ニューヨーク連銀のダドリー総裁を除いて交代した。クリーブランド連銀のピアナルト総裁、フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁、ダラス地区連銀のフィッシャー総裁、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁に変わった。このなかでコチャラコタ総裁は、より緩和的なスタンスをとるべきと主張していたはずだが、テーパリングの決定に対して反対するどころか賛成している。

 キング総裁時代のイングランド銀行のMPCでは、総裁自ら少数派に回ることがあるなど、意見がはっきり分かれることが多かった。それに対して日銀は以前に比べて金融政策そのものへの反対票は出なくなった。異次元緩和については全員一丸となって突き進む姿勢を示している。米国では連銀総裁などから反対票も出ていたが、今回の緩和縮小決定に反対意見は出ず、2011年6月以降で初の全員一致となったのである。

 これには1月末で任期を終えたバーナンキ議長とそれを引き継ぐイエレン副議長を意識したものであった可能性がある。バーナンキ議長が付けたテーパリングの道筋を、しっかりイエレン新議長が引き継ぎ、年内に非常時の対応策となった量的緩和策を止めて通常の金融政策に戻すことが現在のFRBの大きな仕事となった。一時的な雇用の悪化や、ここにきての新興国通貨の下落等により、テーパリングのスケジュールに支障が出るようなことになると、目的が果たせなくなる懸念が生じる。このあたり、戦力の随時投入はしないとしている現在の日銀の金融政策と相通じるものがある。

 FOMCのメンバーには、副議長としてスタンレー・フィッシャーと新たな理事としてラエル・ブレイナード氏を迎い入れる予定となっている。フィッシャー氏とブレイナード氏の加入により、現在の政策の路線が変更されることは考えづらい。むしろ異次元の政策からの脱出をどのようにスムーズに行うのかが、今後のFOMCメンバーの大きな課題となるであろう。

 ただし、何が起きようともテーパリングを完成させるというわけでもない。再びあらたな危機が訪れることがあれば、世界的なリスクに対して副議長として乗りきったイエレン氏とともに、フィッシャー氏の経験が生かされるものと思われる。ブレイナード氏には政府とのパイプ役も期待されるのではなかろうか。

 大きな人事交代を控え、それによるリスクも極力減らすために、今回の全員一致でのさらなるテーパリングの決定があったものと思われる。

 世界的なリスクに対処するためには、最終的に中央銀行に依存せざるを得なくなった。しかし、今後はその依存度を少しでも下げていくことが、出口に向けての大きな課題となる。ここは慎重に行わなければ市場が牙をむく可能性がある。かといって時間を置いてしまうと、資産バブルのリスクが増加する。このあたりの兼ね合いが非常に難しい。そのようななかにあり、異次元緩和と呼ばれる政策をとったまま、追加緩和すら伺っている中央銀行が存在する。これをアリとキリギリスに例えてはいけないであろうか。

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by nihonkokusai | 2014-02-03 10:01 | 中央銀行 | Comments(0)
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