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ダボス会議と1999年のゼロ金利政策

 安倍晋三首相は1月22日からスイスで開く世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席し基調講演を行った。日本の総理大臣としては初めての基調講演となり、このなかで、アベノミクスの成果を強調したうえで、法人税の実効税率の引き下げを含む税制改革に取り組む決意を表明した。

 ダボス会議とは、非営利財団の世界経済フォーラムが開催する会議の通称であり、スイスのダボスで開かれるため、こう呼ばれる。世界の著名な政治家や経営者らが集まり討論を行うが、サミットやG7などのような公式の会議とはかなり趣が異なり、参加者同士が直接顔を付き合わせて討議が出来る場とされている。そういった意味で、ただの民間会議ではあるが特異な世界会議と言われている。

 日本の首相がいまごろになってやっとはじめて基調講演に立ったことに、どれだけの意味があるのかは不明ながら、世界に向けての情報の発信の場となることは確かであろう。それよりも、その後の個別会議のほうがこの会議の性質上は意味があるように思われる。

 今回のダボス会議には、安倍首相とともに甘利経済財政担当相、さらに何度も出席し常連ともいえる黒田東彦氏が日銀総裁として出席する。またECBのドラギ総裁、イングランド銀行のカーニー総裁、欧州連合欧州委員会のバローゾ委員長、韓国の朴槿恵大統領、中国からも上級指導者が出席するそうである。

 このダボス会議の重要性が市場参加者の一部で強く意識されたのは1999年2月の会議においてであろう。この年のダボス会議には日本から自民党の加藤紘一氏や榊原英資財務官などが出席し、米国からはルービン財務長官、サマーズ財務副長官などが出席していた。榊原英資氏とサマーズ氏はハーバード大学で一緒に席を並べた旧知の間柄だったそうだが、とにかくこの4人がどうやら直接会ってひそひそ話をしていたようなのである。

 その席で、米国側から円高と日本の長期金利の上昇に対して懸念が示され、場合によってはさらなる金融緩和を要求されたとされている。この米国側の話が加藤氏などを通じて日本政府に伝わり、直後の野中自民党幹事長による長期金利上昇懸念発言などに繋がることになる。

 米国側から懸念が示された日本の長期金利の上昇とは、1998年12月の運用部ショックと呼ばれた日本国債の急落である。国債価格が下落するということは長期金利が上昇することになる。なぜ日本国債の下落に米国が懸念したかと言えば、日米の長期金利が接近することで米国債を大量に保有している生保などが、米国債を売却し日本国債に乗り換えるのではないかとの懸念が出たためとされている。

 この米国側の懸念はその後、正式にアナウンスされたが、それに慌てたのが日本の政府関係者であり、日本の長期金利上昇に必要とされる手を打たざるを得なくなり、日銀には国債の直接引受まで言及された。さすがにそれは出来ぬと、その代わりに打ち出されたのが、1999年2月の日銀による「ゼロ金利政策」である。このときのゼロ金利政策はデフレ対策などではなかったこともあり、日銀は長期金利の落ち着きをみて、早期に解除したかったと言える。

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by nihonkokusai | 2014-01-24 09:41 | 日銀 | Comments(0)
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