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1990年の日本のバブル崩壊時と似た米国市場

 過去に得たデータを用いて将来の価格変動を適格に予測することは、マイクロ秒とかの世界はさておき、少なくともある程度のタームの相場の世界ではありえない。ただし、似たようなパターンは十分ありうる。それを掴めるかどうかは、デジタルの世界というよりアナログの世界かと思われる。いわゆる経験に基づいた勘が働くかどうかが、相場の世界では重要である。

 昨年の米株の動きを見て、1989年の日本の株式市場の動きを連想していた人もいたのではなかろうか。米国のダウ平均やS&P500種は過去最高値を更新し続け、年末は過去最高値で終えていた。1989年の東京株式市場も同様であった。

 1989年の東京株式市場は上昇を続け、日経平均はその年の大納会の大引けで38915円を付けた。結局、これが最高値として現在まで記録されることになる。ところが年が明け、1990年に入ると状況は一変する。年初から債券安・株式安・円安のトリプル安でのスタートとなった。米国での金融緩和期待の後退、ソ連情勢の悪化、日銀による公定歩合の再引き上げ観測などが要因とされたが、いわゆるバブル相場の終焉であった。

 2014年の米国市場は1月2日にスタートしたが、この日のダウ平均は135ドル安となり、S&P500種株価指数も16ポイント安と大幅下落となった。S&P500種の年初の下落は2008年以来となるそうであるが、この年にはリーマン・ショックが世界を襲っている。

 昨年の米国株式市場の上昇については、1989年の東京市場の熱狂ぶりに比べると決してバブルとは言いづらい。しかし、過去最高値を更新し続けるほど米国経済が活況かと言えばそのようなことはなく、ある意味、違和感のある上げ方でもあった。もちろんその背景には、長らく続いた世界的な金融経済ショックから、世界経済がやっと立ち直りかけたことがある。しかしそれ以上に、その金融ショックに対応するため、日米欧の中央銀行が積極的に金融緩和を実施し、資金が大量に供給されていたことが大きな要因とも言えた。

 1989年5月に加熱する景気に対処するため、日銀は公定歩合を3.25%に引き上げた。さらに10月には3.75%に、12月には4.25%と引き上げ、完全に金融引締策へと転向した。公定歩合の度重なる引き上げによる短期金利の上昇で、長短金利が逆転してしまい、債券相場はすでに総じて伸び悩みの状態となっていた。そのような状況下、債券市場関係者には株式市場の高騰ぶりに違和感を覚えていた人も多かったと思う。私もそんな一人であった。

 2013年12月のFOMCでは量的緩和政策の縮小、いわゆるテーパリングの開始を9対1の賛成多数で決定した。実質的なゼロ金利政策は継続されるが、非伝統的な政策から脱することになり、これは金融緩和政策からの転換も意味している。1989年の日銀ほど大胆に方向転換をしたわけではないが、FRBが方向を転じつつあることは確かである。

 いわゆる資産バブルは大胆な金融緩和がきっかけとなるケースが多い。1989年までの日本のバブルも円高対応と称しての積極的な金融緩和策が影響していた面が大きかった。繰り返しになるが、2013年の米国株式市場の背景も積極的な金融緩和策が影響していたことは確かである。その積極的な金融緩和政策が昨年、変化を見せていたのである。

 2013年の米国の株価指数の過去最高値更新とここにきての調整局面については、注意を払う必要がある。米国の長期金利は1989年の日本の長期金利同様にすでに上昇しつつある。米国のバブル崩壊ということまでは考えづらいが、2014年の世界市場に大きな影響を与えかねない米国市場はかなりの動揺を見せる懸念がある。このあたり、新FRB議長に承認されたイエレン氏の腕の見せ所となるのかもしれないが、FRB議長に頼ってしまうことそのものがリスクの温床となりうることにも注意が必要である。

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by nihonkokusai | 2014-01-08 09:11 | 投資 | Comments(0)
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