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日銀の国債買入はオープンエンド型

 日銀の黒田総裁は12月2日の講演で、4月に決定した「量的・質的金融緩和」について、具体的には、マネタリーベースを年間約60~70兆円増加させ、2年間で2倍に拡大させます。また、これを実現するために、長期国債の保有額が年間約50兆円増加するように買入れを行っています。なお、図表上で本年末や来年末の残高を示していますが、これは現在の政策のもとで、それぞれの時点に実現する残高の見通しであり、政策運営についての何らかの期限を示したものではありません。」とコメントしている。

 あらためて4月4日に「量的・質的金融緩和」を決定した際の公表文を確認してみると、「日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する。このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う」とある。

 4月4日に決定した「量的・質的金融緩和」による国債等の買入は、オープンエンド、つまり期限を定めない政策であったのかどうかは一見はっきりしない。たしかに4月4日の会見でも、「量的・質的金融緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する、としており1月22日の白川総裁時代の決定会合で決めた「期限を定めない資産買入れ方式」を継続させてきていると捉えることもできた。ところが、4月の異次元緩和は2年で2%の物価目標を達成できる、できない場合は辞任するとの副総裁のコメントもあったぐらいで、2年と区切った目標と捉えられてもおかしくはなかった。

 FRBの量的緩和策は当初、期限を区切った国債等の買入を行っていた。ところが、2012年9月のFOMCで住宅ローンを担保にした証券であるMBSを毎月400億ドル追加購入することを表明し、物価安定の下で労働市場の改善が実現できるまでMBSの購入を継続するとして、このMBSの買入はオープンエンド型(無期限)となったのである。2012年12月のFOMCでは、年末に終了するツイストオペの代わりに毎月450億ドル規模の米国債購入を決定した。これによりFRBは400億ドルのMBSの買入を含めると月額850億ドルを買い入れることになる。この買入もオープンエンド型(無期限)となった。それが現在まで続いている。

 イングランド銀行が2009年3月5日に決定した量的緩和は、2009年の3月から11月の間に総枠2000億ポンドの資産(対象は主に英国債)を購入するというものであり、こちらは期限と金額を区切っていた。その後、総枠が増額される格好で追加緩和が実施された。2011年10月には、2012年11月までに量的緩和第一弾と合計で総枠3750億ポンドの資産を購入する資産購入プログラムが決定されたが、これが最後となりこの枠が維持されたまま現在に至る。

 日銀の4月の異次元緩和は、1月の決定会合時のように「期限を定めない資産買入れ方式」とは宣言はしていない。白川時代の緩和策とは次元が異なるものとしていた以上、1月の「期限を定めない資産買入れ方式」がそのまま生きているのかは、見方によっては不透明であった。このあたりも意識して今回、黒田総裁は「マネタリーベースと国債保有額の見通しが来年末までしか示していないのは、政策運営についての何らかの期限を示したものではない」ことをはっきりさせた。

 細かいことを長々と説明してしまったが、要するに、もし日銀が追加緩和を行うとして、現在の国債買入がオープンエンドである以上、それをたとえば2015年以降も継続する、といったことは追加緩和には該当しないし、そのような宣言もないはずである。ただし、2014年末までの日銀の保有する国債などの残高目標を引き上げるとなれば追加緩和となる。日銀が現在行っている国債等の買入は1月に決定した「期限を定めない資産買入れ方式」の、いわゆるオープンエンド型である点にあらためて注意したい。

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by nihonkokusai | 2013-12-04 07:58 | 日銀 | Comments(0)
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