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投資家の国債市場に対する見方

 11月25日に財務省で開催された国債投資家懇談会(第52回)の議事要旨が公表された。国債投資家懇談会とは、「国債の消化を一層確実かつ円滑なものとするとともに、国債市場の整備を進めていくため、国債の投資家と直接かつ継続的に意見交換を行う」(財務省)会合である。こちらは国債市場特別参加者制度に基づく国債市場特別参加者会合とは異なり、特に一定の優遇措置といった意味合いではないが、国債を購入している投資家と国債を発行している財務省が意見交換をすることも重要であり、このような場が設けられている。

 ちなみに国債市場特別参加者会合と国債投資家懇談会の参加者は、何がどう違うのか。債券市場関係者以外の方には、わかりづらいかもしれない。国債市場特別参加者とは、そのメンバー表を見てわかるように証券会社とメガバンクである。このメンバーは業者と呼ばれ、国債を発行する際には、発行体の財務省と国債を保有する投資家の間を取り持つ存在となる。簡単に言えば、生産者と消費者を結ぶ流通業者と同様である。投資家が国債を売買する際もこの業者が頼りとなる。国債の「相場の動向」については業者が専門家となるが、最終的には需給が大きく影響することで、投資家の動きが直接、市場に影響を及ぼすことになる。業者と投資家は発行体の財務省とともに、国債市場を形成している大きな存在となっている。もちろん別途、日銀のような存在もあるが。

 その投資家が現在の国債市場をどのように見ているのか。最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについての意見では、「最近金融機関の貸出が多少伸びてはいるが、民間の資金ニーズは本格化していない」との意見が複数出ていた「製造ラインを増やす等の設備投資につながるまでには至っておらず、金融機関としては資金需要が見出せない状況である」との意見もある。このため銀行などは債券で運用せざるを得ない状況が継続している。ただし、金利水準が低いため積極的に購入する状況ではないとの意見も出ていた。

 「債券運用にならざるを得ないが、積極的に投資できる環境ではないため、余資を日銀当座預金に積み上げ金利上昇を待つ状況となっている」との声もあった。金融機関は日銀の異次元緩和に積極的に協力しているわけではなく、当座預金口座に資金を置いておかざるを得ない状況にあるとも言える。ただし、このような意見もあった。

 「当社は、ALMの観点から超長期債の購入ニーズは潜在的にあるものの、資金コストを下回るような金利水準であり、流動性も低いことから投資を見送っている。そのような中、日銀当座預金ではなく、為替ヘッジ付き外債への投資を行っているほか、金利上昇時には再度長期化を行えるよう年限の短い国債を購入しているところである。」

 金利水準の低さや流動性の低下も指摘されている。金利水準が上昇すれば購入したいという声も出ており、その分、押し目買いニーズも強い。ただし、どのような理由で金利が上昇するかによって、その押し目買いスタンスにも変化が生じることが予想される。

 「きっかけは分からないものの、現在の相場は、今後大きく反転する可能性も十分考えられることから、引き続き警戒感を持っている。」

 これは投資家のみならず業者も含めて、その警戒心は強いと思われる。リーマン・ショックや欧州の信用不安により、世界的な金融経済危機が生じていた際には、リスク回避から国債に資金を振り向けざるを得なかったが、その世界的なリスクは大きく後退してきた。株価も上昇しており、円安の進行など外部環境はかなり変化してきている。

 ただし、「日銀がインフレ率2%を達成するのはまだ先であり、金利が上昇するまでには時間がかかるだろう」との見方もあり、金利は低水準を維持している。

 「金利が非常に低い今こそ、財政の健全化を進めないと、長期的な意味で我が国の経済・国民生活を維持することは非常に困難」

 投資家もこのあたりに目を配っていることにも注意しておく必要がある。

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by nihonkokusai | 2013-11-29 09:37 | Comments(0)
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