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注目度が低い日銀金融政策決定会合だが

 11月20日から21日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催される。11月7日のECB政策理事会ではタイミングとして意外感のあった利下げを実施した。13日にイングランド銀行のインフレレポートが発表され、イングランド銀行のカーニー総裁は、必要なら2015年の選挙前に金利を引き上げる用意があると言明した。11月14日のイエレンFRB副議長の議会証言では、米国経済や雇用情勢に対して慎重な姿勢を示し、テーパリング開始時期が先送りとの認識が強まった。

 このように欧米の中央銀行の金融政策に注目が集まるなか、日銀の金融政策の行方については、さほど関心が高まっていない。為替市場や株式市場の一部では、毎回の決定会合で追加緩和への期待も出ているようだが、まさに期待と言うより願望に近い。現状、日銀が動く気配はない。まさに動かざる事、日銀の如しである。

 日銀は4月4日に異次元緩和を決定した。その規模は確かに大胆なものであり、アベノミクスの最初の矢が放たれた。その後、黒田総裁は「戦力の逐次投入をせず、現時点で必要な政策をすべて講じた」とコメントしていたように、かつての日銀が行っていたような微調整のようなことは行わないと宣言している。

 アベノミクスの登場から1年が経過したが、日銀の異次元緩和というバズーカ砲を打つ前に、安倍首相のリフレ政策宣言をきっかけに急速な円高調整が進み、東京株式市場も上昇した。円安の影響もあり、景気は回復基調となり、日銀が目標としている物価についても、0.7~0.8%近辺まで上昇してきている。この結果を見ても、日銀が特に金融政策を変更する必要性は見当たらない。

 今回の金融政策決定会合でも金融政策については現状維持が決定されよう。しかし、このような環境が今後も続くわけではない。うまく行っている間は特に問題は表面化せずとも、日銀が動かざるを得ない状況に追い込まれたときが問題となる。

 歴史上まれにみる大胆な金融緩和政策を行ってきた日米欧の中央銀行は、ここにきて足並みが乱れてきている。その背景には非伝統的手段を講じなければならなかった世界的なリスクの後退がある。イングランド銀行はいち早く向きを変え、FRBも向きを変えるタイミングを計っている。ECBはまだ慎重ながら、アイルランドは金融支援を脱却すると宣言し、14日にはスペインの支援脱却も決まった。足下景気の動向は気になるが、少なくともユーロ圏の信用不安による非常事態宣言はそろそろ解除されてもおかしくはない。

 このような状況下、日銀だけが非常時の対応を倍返しで行っている状況にある。すでに舵は取り払われて、目的地(コアCPI2%)に到達するまでは、突っ走るしかない。必要となれば追加緩和を行うとしているが、残念ながら異次元の緩和は2度はできない。

 まだ先の話ではあるが、来年4月には消費増税がスタートするとともに、異次元緩和から1年が経過し、中間報告も必要となる。すでにアベノミクスの仕掛け人の一人、浜田宏一・内閣官房参与(イエール大学名誉教授)は15日の都内の講演で2%の物価目標が達成できなくとも景気への好影響が確認できればよいとし、岩田規久男・日銀副総裁が物価目標未達を理由に辞任する必要はないと指摘した。2%という錦の御旗を下ろしてもよいとの指摘である。しかし、そう簡単に下ろせるものでもないはずである。

 日銀は現在、何もしなくても良く、帆を上げていれば風が押してくれている。その風向きが変わったり、さらに目標が遠ざかったときに何をしてくるのか、何ができるのか。現在は注目度が低下しつつある日銀の決定会合ではあるが、実はかなりの不透明な材料を抱えていることもまた事実であり、それは時が経つにつれてさらなる矛盾を抱え込み、政策変更をより困難にさせる可能性がある。



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by nihonkokusai | 2013-11-20 09:59 | Comments(0)
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