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日米欧の金融政策の行方はまちまちに

 注目されたイエレン副議長の次期FRB議長就任に向けた承認公聴会だが、その公聴会を前に証言テキスト(草稿)が事前に配布され、FRBのサイトにもアップされた。このなかで、イエレン氏は失業率はピークの10%からダウンはしているが、10月に7.3%とまだ高く、それは経済や労働市場が潜在的水準をかなり下回る状況だとの見方を示した。同時に、インフレ率は2%というFRBの目標(ゴール)を下回り、当面はその水準で推移する見通しを示した。

 市場のコンセンサスとしては、FRBのテーパリングの開始決定は来年3月以降との見方が依然として強く、このイエレン副議長の証言内容もその見方を強めるものとなりそうである。ただし、バーナンキ議長としてはできれば任期中に出口への道筋をつけておきたいとの気持ちに変わりはなかろう。イエレン氏の発言では、資産購入プログラムの縮小時期については具体的な言及は避けていた。バーナンキ議長の任期中での、テーパリング決定の可能性は残っていると思うが、それには財政協議の行方とともに、発表される雇用などの経済指標をひとつひとつ見極めて行く必要がありそうである。

 13日にはイングランド銀行のインフレレポートも発表され、イングランド銀行のカーニー総裁は、必要なら2015年の選挙前に金利を引き上げる用意があると言明した。英国の景気は予想以上に速いペースで回復しており、雇用も回復している。イングランド銀行は量的緩和策も実行し、その枠は3750億ポンドまで拡大されたが、現在はそれを使い切っており、その枠を維持している段階にある。どうやらイングランド銀行は出口に向けての姿勢を取りつつあり、利上げはまだかなり先ではあるとはいえ、向きそのものは変えてきつつある。量的緩和策をどうするのかについても興味深い。

 13日にはプラートECB専務理事がWSJとのインタビューで、インフレ率をECBの目標に近づけるために必要であれば資産買い入れや、中銀預金金利のマイナスへの引き下げなどの措置を講じることが可能との見解を示した。ECBは11月7日の理事会で利下げを決定したように、まだ出口に向けて方向転換出来る状況にはなさそうである。7~9月期のユーロ圏域内GDP速報値の伸びも鈍化した。しかし、危機は去った以上、ここからさらに非伝統的手段を講じるような状況にもない。このあたり今後のECBの金融政策の舵取りを困難にさせる可能性もある。

 日銀は舵そのものを取ってしまっている。目標に向かって突っ走るのみ、という状況にあるが、その目標達成への道筋がはっきりしていない。欧米の金融政策を取り巻く環境は、かなり変化してきている。金融政策はある程度、風を読みながらの行動が求められる。しかし、日銀の現在の金融政策はこのような風の変化に応じての変更を困難にさせている。中途半端な緩和も、当然ながら引き締めも難しい。とにかくバズーカを撃って、あとはその結果を見守り続けるしかない。問題はそのバズーカが本当に効果があるのかという点であり、やってみないとわからない、結論は2年後という政策も、ある意味危険な賭のように思える。



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by nihonkokusai | 2013-11-15 09:33 | 中央銀行 | Comments(0)
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