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日銀の物価の見方は正しいのか

 10月3日、4日に開催された日銀の金融政策決定会合の議事要旨が発表された。このなかで特に物価に関する委員の意見を確認してみたい。

 「委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっており、先行きはプラス幅を次第に拡大していくとの見方を共有した。」

 本当に共有したのかは、あとからの委員のコメントをみると疑問ではあるが、「多くの委員は、最近の消費者物価の動きには、エネルギー関連の押し上げだけでなく、幅広い品目に改善の動きがみられたことが影響しているとの認識を示した」とある。ただし、ここにきての値上げの動きの背景には、エネルギー関連だけでなく、円安による影響も大きいことも確かではなかろうか。たとえば国内企業物価は6か月連続で上昇しているが、それを集計している日銀は、円安を背景に昨年12月以降指数の上昇基調が続いていると指摘している。

 「ある委員は、個人消費の底堅さを背景として、短観の販売価格判断DIに表れているように、企業の価格設定行動に変化がみられつつあり、食料工業製品など幅広い品目で上昇傾向が続くとの見方を示した。」

 欧州リスクの後退とそれを背景とした欧米経済の回復、意外に底堅い中国経済、さらにここに昨年11月あたりからの急減な円安、それらが企業の価格設定行動に変化を与えていたとも言えまいか。

 「ある委員は、9月短観における販売価格判断DIの改善や仕入価格判断DIとの差の縮小は、企業が価格転嫁やその結果として賃金引上げを行いやすくなる可能性を示唆していると述べた。」

 たしかにその可能性はあるかもしれないが、それでは何故、政府が無理矢理、賃金引き上げ要請など行っているのか。要請はないと企業が動かないのは、それだけデフレマインドが強いため、との見方もありそうだが、それは異次元緩和で解消できるはずのものではなかったろうか。

 「これらに対し、複数の委員は、消費者物価の前年比プラス幅は、前年のエネルギー価格下落の反動などが剥落するため、今後、拡大が一服する可能性があるとの認識を示した。」

 これは異次元緩和以前から指摘されていたシナリオである。円安やエネルギー価格の上昇で予想よりもコアCPIの上昇幅は上振れたものの、今後はやや頭打ちとなるというのが、多くのエコノミストなどの予想になっていると思われる。

 「一人の委員は、世界的なディスインフレ傾向に改善の兆しがみられない中で、日本の物価が国内独自の要因で伸び率を高めていくかどうか注視しているとの見方を示した。」

 国内独自の要因とは、大胆で異次元の金融緩和による影響ということかと思う。10月31日の展望レポートに対し、木内、佐藤両委員は「物価上昇率2%の達成時期」に反対していた。異次元緩和の効果に疑問を持っているのは、果たしてこの2人の委員だけなのか。執行部の総裁、副総裁はさておき、そろそろ各審議委員は執行部の意見をなぞるのではなく、それぞれ独自色を打ち出してきても良いのではなかろうか。

 「予想物価上昇率について、委員は、家計やエコノミスト、市場参加者に対する調査なども踏まえると、全体として上昇しているとみられるとの認識を共有した。」

 そういえばこの部分に関しては9月の会合の議事要旨にあった「マーケットの指標に加え」という一文が、10月、11月は除かれている。市場参加者への調査においても、少なくともコアCPIが2015年4月までに2%に上昇する(消費増税の影響を除く)との見方は少数派である。



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by nihonkokusai | 2013-11-07 07:59 | 日銀 | Comments(0)
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