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米政府機関閉鎖による雇用統計等への影響

 10月31日の日銀金融政策決定会合後の黒田総裁総裁の会見要旨が日銀のサイトにアップされた。米国の財政問題が、米国経済のみならず世界経済に及ぼすリスクに関する質問に対し、黒田総裁は次のように答えていた。

 「最近、財政を巡る協議が難航し、政府機関の一部が閉鎖される事態もあったわけです。しかし、その後、協議が進展し、債務支払いの遅延も回避されたため、経済への影響は小幅かつ一時的なものにとどまった公算が大きいと考えています。従って、先行きの米国経済に関しては、緩和的な金融環境が維持され、財政面からの下押し圧力も次第に和らいでいくことなどを背景に、回復テンポが徐々に速まっていくとみており、こうした見方に変わりはありません。」

 16日に及ぶ米政府機関の一部閉鎖による経済への影響については、第4四半期の成長率に対し0.2%から0.8%の影響が及ぶとの予測数値が金融機関などから出ているが、実際にはどの程度の影響があったのか。これについては10月21日のWSJが次のように報じている。

 「閉鎖が米経済に影響するには二つの経路がある。一つは閉鎖が与える直接的影響―自宅待機となった職員に賃金が払われず、国立公園を訪れた観光客が土産物を買うこともなく、製品の輸出が止まり、政府機関で書類が滞ってしまったために不動産取引も完了できない、などだ」(WSJ)

 ところが、実際には賃金は支払われているケースが多く、個人消費に悪影響を与えるほどのものではなかったとみられる。国立の博物館の閉鎖などによる影響も同様であろう。むろん消費者が不安を感じて消費を控える恐れもあったが、閉鎖解除後の株価などの動きなどを見る限り、それはあくまで一時的なものであった可能性が高い。WSJは1995、96年に政府機関閉鎖があった時、信頼感は急落したが、実際の消費支出にはほとんど影響しなかったと指摘している。

 黒田日銀総裁の米経済への影響は小幅かつ一時的なものにとどまった公算が大きいとの見方は、日銀の調査結果なのか、それとも常に連絡を取っているはずのFRBの見方なのかはっきりはしない。しかし、ある程度はFRBの見方も伝えられていると取るのが自然であり、黒田総裁の認識はFRBの認識に近いものである可能性は高い。ここにきてのFRB関係者の発言からも、政府機関閉鎖による米経済への影響は限定的と見ているように感じられる。

 「ただし、財政協議は今後とも継続されるため、その帰趨次第では、先行き金融市場や経済主体のマインドへの悪影響から、米国景気が下振れる可能性もあり得ます。その点については留意が必要であり、今後とも十分に注視していきたいと思っています。」(黒田日銀総裁)

 注意すべきは政府機関の一部閉鎖よりも、米国でディフォルトが本当に起きてしまったときの影響ではなかろうか。今後の財政協議の行方は不透明ながら、市場に不安感を与えるようなことは繰り返さず、早めに決着して不安を取り除く必要がある。この財政問題が片付けば、FRBのテーパリング開始に向けての大きな障害は取り除かれる。あとは雇用等の経済指標次第となるが、注意すべきは11月8日に発表される米雇用統計となる。

 調査対象時期と政府機関閉鎖時期が重なってしまったため、特に家計調査に基づく失業率の数字の正確性等が疑問視される懸念はある。米労働統計局は、政府機関閉鎖のため一時解雇されていた職員、あるいは閉鎖の影響を受けた労働者を失業者として扱うとしており、一時的に失業率が上昇することも予想される。

 非農業雇用者数については、あとからでも数字は掴めるため、数字の集計に関してはあまり影響はないとされる。その非農業雇用者数の予想はかなりの幅が出ている(ブルームバーグによると5万人増~17.5万人増)。政府機関の一部閉鎖が民間雇用にも影響を与えたとの見方も強い。実際の数字がどのようなものとなり、それをどのように分析するのか。FRBのテーパリング開始時期を巡っては、この10月の雇用統計の数字が大きな注目材料となる。



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by nihonkokusai | 2013-11-06 09:42 | 景気物価動向 | Comments(0)
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