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日米欧の中央銀行の足並みに乱れ

 ここにきて日米欧の中央銀行の金融政策の方向性が若干ながら異なってきた。むろん、日米欧の中央銀行が足並みを揃える必要はない。中央銀行は自国の景気や物価を安定させることが最大の目的であり、金融政策もそのために行われる。ただし、世界的な金融経済危機が発生した際には、そうは言っていられず、連携しての対応が求められる。 つまり、ここにきての日米欧の中央銀行の足並みの乱れは、欧州の信用危機という大きな危機が過ぎ去りようとしている現れとも言える。

 31日に発表された10月のユーロ圏消費者物価指数は前年同月比0.7%の上昇となった。9月は前年比1.1%で予想も1.1%となり、予想を大きく下回った。エネルギーコストが1.7%低下し、2009年11月以来の低水準となったことなどが背景にある。さらに9月の域内失業率は過去最悪の12.2%と発表された。ユーロ圏域内GDPは第2四半期にプラス成長となったものの、物価はECBのインフレ目標の2%を大きく下回り、雇用も悪化している。外為市場でのユーロの上昇もあり、ECBは12月の政策委員会で利下げを実施するとの見方が強まってきた。

 イングランド銀行もまた悩ましい状況にある。カーニー総裁は「回復の勢いが鮮明になるまでの間は、金融政策を引き締めるつもりはない」とコメントしており、いまのところは出口を模索するような状況にはない。

 これに対して米FRBは16日間に及ぶ政府機関一部閉鎖の影響が懸念されていたにも関わらず、FOMCの声明文ではそれについても言及はなかった。様子見とも取れるが、テーパリング開始のタイミングを伺っている姿勢に変化はないともいえる。31日に黒田日銀総裁は会見で、連邦政府機関の一部が閉鎖されたことなどの影響に関して「小幅かつ一時的なものにとどまった可能性が高い」との認識を示した(日経QUICKニュース)。つまりFRBがこのような見方をしている可能性がある。さらに米与野党の有力議員が31日に財政政策を話し合う超党派委員会に対し、2014年の歳出上限について11月22日までに合意するよう求めたと伝えられた(ロイター)。この合意が可能となれば、引き続き残る暫定予算の問題が解決され、12月でのテーパリング開始に向けての支障がなくなる可能性もでてきた。むろん、それまでに発表される経済指標次第という面もあるが。

 このようにFRBは非伝統的手段からの出口に向けて踏みだそうとしているのに対し、ECBはさらなる追加緩和を行う可能性が出てきた。それに対して日銀は4月の異次元緩和による影響を見定めたいとして、政策変更は4月以降は行っていない。しかし、来年4月の消費増税による景気への影響もあり、達成は難しいとみられている物価の2年以内の2%という目標に向けて、無理矢理追加緩和を行ってくる可能性がある。日本でのテーパリングの実施は、よほどの副作用が表面化しない限り、現在の日銀ではまず考えられない。

 フォワードガイダンスや物価目標など、日米欧の中銀は何かしらの数字に縛りをつけてきたが、その数字そのものに金融政策が縛られている状態にも見受けられる。それでも日銀以外はフレキシブルな対策が講じられる余地はある。大きな危機は去った。金融政策は非常時の対応から徐々に平時の対応に移行することが求められる。しかし、その縛りが非常時に作ったものであるだけに、今後の対応はやっかいなものとなる可能性がある。日銀については非常時ではないときに非常時の対応を行ってきているだけに、尚更やっかいである。

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by nihonkokusai | 2013-11-03 10:32 | 中央銀行 | Comments(0)
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