牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

個人向け国債10年変動金利型が人気の理由

 9月に募集され10月に発行された個人向け国債に異変が起きていた。変動金利タイプが、前回6月募集分に比べて発行額を大きく伸ばしていたのである。

 9月に募集された個人向け国債の発行額は、3年固定金利タイプが890億円、5年固定金利タイプが1379億円、10年変動金利タイプが6661億円となっていた。前回6月募集分は3年固定金利タイプが415億円、5年固定金利タイプが1286億円、10年変動金利タイプが2966億円となっており、10年変動が大きく増加したことがわかる。2006年の10月発行分以来の高水準を記録したのである。10年変動の初期利子は6月募集分が0.57%で、9月募集分が0.51%と利率面では魅力が低下していたにも関わらずである。さらに9月はボーナスシーズンでもなかった。

 過去の個人向け国債の売れ行きをみると、固定金利タイプは利率、変動金利タイプは初期利子の水準が販売額に大きく影響していた。たとえば5年固定タイプは利率が1%以上だと売れ行きが伸びるが、1%以下なら伸び悩んでいた。10年変動の初期利子が前回募集分から低下しても、募集額が増えたことは皆無ではないものの、ここまで金額が大きく膨らむことはなかった。

 この背景にはもしかすると、私が学研の「安心マネーライフ」という雑誌で、資産運用する上では、個人向け国債、なかでも10年変動タイプを推していたことや、9月の牛熊のコラムで「物価上昇の備えに個人向け国債10年変動金利型はいかが」と題して、お勧めしていたことが効果を挙げた、と言いたいところだが、多少は貢献したのではないかとも考える次第。それよりも私が勧めた理由そのものを個人も感じ取っていたということであろうか。

 日銀の生活意識に関するアンケート調査によると、個人の物価観としては上昇すると予測しており、日銀の異次元緩和によって2%の物価上昇もありうると思うのであれば、最適な金融商品となるのが、個人向け国債の10年変動金利型となる。

 物価が上昇すればそれに応じて長期金利も上昇する(はずである)。現在、長期金利が低下しているのは、そうは思っていない債券市場参加者が多いということであるが、異次元緩和による日銀の国債大量買入で、その上昇が抑制されたとの指摘もある。ただし、今後、もし日銀の思惑通りにコアCPIが2%に上昇するとなるとなれば、現在の長期金利の水準を維持させることはいずれ難しくなる。

 円安によるアベノミクス効果だけでなく、外部環境も好転しつつあり、それにより物価も上昇しやすい状況にある。また消費増税による影響等も意識する必要もある。

 今後、物価の上昇とともに長期金利は上昇すると予想するのであれば、固定利付きの債券であればなるべく期間の短いものを購入し、金利がある程度上昇してからあらためて利率の高く期間の長い債券を購入するというのがひとつの方法である。ところが、個人向け国債の10年変動金利型であれば、長期金利の上昇に応じて利率も上昇する(半年のラグはあるが)。

 さらに個人向け国債であれば、1年間という売却できない期間はあるものの、1年経過すれば財務省が額面で買い取ってくれる。つまり債券の大きなリスクとなっている価格変動リスクと流動性リスクが「ない」。その分利子は低いが、もし2年以内に2%の物価上昇が起きる可能性にも賭けたいのであれば、元本は維持される上、金利上昇も享受できる10年変動金利タイプの個人向け国債はたいへん魅力的な商品となりうる。

 消費者物価指数は7月でコア指数が前年比プラス0.8%となった。その上昇は円安や、エネルギー価格の上昇で、ある程度説明でき、異次元緩和の影響はあまり見えていない。それでも物価は今後上昇し、いずれ長期金利もそれに応じて上昇可能性もあると思うのであれば、預貯金に資金を置いておくよりも、個人向け国債を購入しておいたほうが面白いかもしれない。次回の募集は12月となるが、12月以降は10年変動タイプ、5年固定タイプともに毎月募集・発行される予定である。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-10-20 08:48 | 国債 | Comments(1)
Commented by イノウエ アキヒロ at 2013-10-20 10:19 x
1年分くらいの生活費を超える貯金は、全部、変動金利国債にして問題ないと思います。銀行預金と同程度の安全性があり、金利は上ですから。
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー