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国の債務管理の在り方に関する懇談会が再開

 政府は1日の閣議で、来年4月の消費税率8%の引き上げを決定した。安倍首相は「財政再生と財政健全化は両立しうる。経済再生と財政健全化の2つを同時に達成するほかに道はない」と力説したそうである(10月2日の日経新聞)。

 消費増税法は野田政権下で成立したものの、政権も変わりあらためて現首相が予定通りの増税を決断した格好となる。浜田・本田両内閣官房参与をはじめとするいわゆるリフレ派と呼ばれるアベノミクス推進派が増税に反対し、かなり時間をかけた決断ではあったが、国際公約通り、財政規律の姿勢を守ることを示した。

 消費増税に対しては日銀の黒田総裁が予定通りの実施を強く求めていた。これは黒田総裁が財務省出身だからというより、日銀の異次元緩和による大量の国債買入が財政ファイナンスではないとする根拠に、政府による財政規律厳守の姿勢があり、そこが守られないとなると国債への信認そのものが崩れる懸念があったためであろう。

 すでに国の債務は1000兆円を超えている。それでも日本国債への信認は維持され、長期金利は低位安定している。この安定が維持されなくなると、消費増税どころではなくなる。日銀が大量に国債を購入すれば問題が解決されるものではないことは、黒田総裁の消費税を巡る発言などからも明らかである。

 消費増税の決定のタイミングで、財務省は「国の債務管理の在り方に関する懇談会」を再開するそうである。NHKによると「日本国債に対する信認を中長期的にどう確保していくかを話し合う有識者による懇談会を、3年ぶりに再開する」ことになった。昨日、財務省からの正式な発表もあり、9日に25回会合を開催するそうである。

財務省「国の債務管理の在り方に関する懇談会(第25回)を開催します」
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/press_release/arikata20131002.html


 「在り方懇」とも呼ばれていた「国の債務管理の在り方に関する懇談会」は、中長期的な視点から、国債管理政策を中心とする国の債務管理について、高い識見を有する民間の方々等から意見や助言をもらうためとして開催されるものであり(財務省のサイトより)、2004年11月に第一回会合が開催された。その後、2010年12月の24回会合まで続けられたが、いったんここで休止した。

 NHKによると、「日銀がことし4月に大規模な金融緩和に踏み出し、毎月発行される国債の7割を購入するなど、国債市場を取り巻く環境が大きく変化したこと。また、国債などの国の借金の総額が1000兆円を超え、財政悪化が一段と深刻になっていることなどを踏まえ、今月から3年ぶりに開くことにしたもの」だそうである。財務省のサイトによると、「今般、前回開催後の国債を巡る環境の変化を踏まえ、国の債務管理に関する意見交換を行うため、同懇談会を再開することとしました。」としている。

 4月の日銀の異次元緩和後の国債市場の乱高下、その原因に日銀が井戸の中のクジラのような存在となったことがある。そして、メガバンクは保有する国債残高を大きく減少させてきた。米国ではテーパリングが意識され、米国の長期金利は一時3%台に上昇した。欧州の信用不安の後退で、欧米中銀の出口戦略が意識されることもあり、日本国債を取り巻く環境は変化している。この変化をどう捉えるのか。たとえ消費増税が実施されても、日本の財政健全化は思うようには進まない状況下、国債の信認を維持させるには何が必要なのか。そのあたりをしっかりと議論していただきたいと思う。

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by nihonkokusai | 2013-10-03 09:33 | 国債 | Comments(0)
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