牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

東京五輪開催の2020年は日本の財政の分岐点に

 2020年の夏季オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まった。スペインのマドリードが東京を追い上げたとされていたが、決選投票は東京とトルコのイスタンブールの対決となり、東京が選出された。一部のニュースによるとIOC委員の44、45人の票が見込めるとされていたそうだが、最初の投票で東京が獲得したのは42票とほぼ読み通りとなっていたようである。このあたりロビー活動がかなり功を奏しており、決選投票での圧勝は日本のプレゼンテーションもかなり影響していたと思われる。

 東京オリンピック開催決定で今後7年間での日本経済への回復期待も強まろう。9日の東京株式市場は買いが先行し日経平均は14000円台を回復し、外為市場では日本のデフレ脱却が意識されてドル円は一時100円台を回復した。日銀の異次元緩和による期待創出についてはその波及経路がはっきりしないものの、東京でのオリンピック開催による期待は波及経路もはっきりしている。ここにきて回復基調となりつつある日本経済への効果も大きなものとなろう。

 9月9日に発表された4~6月期GDP改定値は前期比年率3.8%増と、速報値の2.6%増から上方修正された。2日公表された法人企業統計の内容が加味され、設備投資が大きく引き上げられたことによる。安倍首相は10月1日の日銀短観を確認してから来年度の消費増税について判断するとしている。その短観も現在調査期間中であり、元々良い数字が期待されているが、そこにオリンピック効果もオンされる。来年4月の消費税の引き上げは予定通りに実施される公算が高くなってきた。

 消費税の引き上げは、日本の財政再建が大きな目的となっている。政府は2020年度までにプライマリーバランスを黒字化するのを目的としているが、予定通りの消費税の引き上げが行われたとしても、その達成は困難との見方も出ている。東京オリンピック開催の2020年までにプライマリーバランスを均衡もしくは黒字化は可能となるのか。過去の自国開催のオリンピックが日本の財政にとって分岐点となっているだけに、2020年も日本の財政にとっても大きな分岐の年となることが予想される。

 ここでも何度か指摘したが、過去のオリンピックの自国開催と財政の動向を再確認してみたい。1964年の東京オリンピックに向けてのインフラ整備等の反動が、昭和40年不況を呼び、戦後初の国債発行に繋がった。札幌で冬季オリンピックが開催された1972年は日本列島改造論が出た事に加え、福祉元年とも言われた年となった。その後のオイルショックも加わり、高度成長から低成長時代に移るとともに、一般歳出に占める社会保障費を増加させるきっかけとなった。長野で冬季オリンピックが開催されたのが、1998年2月である。この2月に30兆円の公的資金枠を設けた金融システム安定化法が成立するなど、日本では不良債権問題が大きくクローズアップされた。11月にはムーディーズによる日本国債の格下げがあり、年末には運用部ショックもあった。日本の財政悪化が加速されたのが、この1998年あたりからである。

 2020年が日本の財政にとり分岐点となるならば、それはこれまでのように悪い方向に向かうのか、それとも良い方向に向かうのか。すでに1000兆円を超えている国の借金がさらに増え続け、日本の債務状態が深刻な問題となり、長期金利が大きく上昇するといった事態が発生するのか。それとも日本の債務悪化に一定の歯止めが掛かり、オリンピック開催をきっかけに日本の債務問題が解消の方に向かうのか。何かしら起きるとすれば前者の可能性が高いように思われるが、後者となるような努力がいまは必要になると思われる。7年という月日は決して長くはない。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-09-10 09:47 | 財政 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31