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日銀の量的緩和解除とFRBの量的緩和縮小

 7月の米FOMC前にニューヨーク連銀が実施したプライマリーディーラー調査によると、FRBの資産買い入れ縮小は9月に150億ドル(国債100億ドル減、MBS50億ドル減)の規模で始まるとの見方が中心。さらに12月に150億ドル(国債50億ドル減、MBS100億ドル減)との見方となっていた。

 このように9月のFOMCで資産買入縮小、つまり量的緩和政策の縮小がコンセンサスとなっている。過去の量的緩和政策の解除といえば2006年3月の日銀の例がある。FRBの量的緩和政策は国債やMBSの買入額そのものが目標値となっていたことに対し、2006年3月まで日銀が行っていた量的緩和政策の目標値は日銀の当座預金残高であったことの違いはあるが、2006年3月にどのようなことが起きていたのか、当時の私のコラムなどから振り返ってみたい。

 2006年3月9日の金融政策決定会合で日銀は2001年3月から続けていた量的緩和政策を解除した。当時の小泉首相は「まだ、デフレ状況を脱却したとは言えない」としながらも「量的緩和政策解除の判断は日銀総裁に任せる」と述べている。日銀の量的緩和解除に対しては政府の意向がかなり意識されていたことが確かである。2月26日の読売新聞は日銀が3月に開く金融政策決定会合で、仮に量的緩和策の解除が提案された場合でも、小泉首相は議決延期請求権を行使しない方針を固めたと伝えていた。2001年8月のゼロ金利解除の際の政府との対立は、今回は避けられるとの見方も量的緩和解除の背景にあったものとみられる。

 これに対して、今回のFRBの量的緩和縮小に対しては米政府からの発言はほとんど伝わってこない。これはむしろ米政府は黙認しているとの見方もできる。さらにオバマ大統領は次期FRB議長にサマーズ氏を推すのではないかとの観測もあるように、利上げまで見越しているのではとの憶測もある。

 2006年3月の量的緩和の解除の際の債券市場への影響は限定的であった。毎月1兆2千億円の長期国債の買い入れは継続することで国債への需給にはさほど影響は与えないとの見方がある一方、すでに相場が量的緩和解除を織り込んでいたこともある。また長期金利の居所をみると、1999年2月以降は2%以下での推移が続いていたことで、長期金利が量的緩和政策以前に戻るといっても上値余地は限られていた。ちなみに量的緩和解除後に長期金利は1.9%台に上昇した。

 また短期金融市場でも当座預金残高の縮小はあくまで技術的なものとなり、むしろ市場機能が回復すると好感されたような状況にあった。

 FRBの量的緩和の解除にあたっては、米国債の需給に直接影響を与えることもあり、米金利の上昇を誘ったが、これも3%あたりまでの上昇は許容範囲ではなかろうか。さらにFRBの政策は世界的な影響力があり、新興国の通貨安や株安を招くことになった。こちらはやや膨らみすぎたバブルの崩壊となり、新興国の経済に影響が出ようが、1997年のアジアの通貨危機などのような金融危機を発生させる可能性は薄いのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2013-08-25 13:08 | 日銀 | Comments(0)
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