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欧米の長期金利が上昇、日本の長期金利は低位安定

 8月15日の欧米市場では長期金利が上昇した。米国の長期金利は一時2.8%に上昇したが、2.8%台に乗せるのは2年ぶりだとか。ドイツの長期金利は一時1.9%台に乗せ、2012年3月以来の水準に上昇した。フランス、ベルギー、オーストリアの長期金利も上昇。興味深いのは、イタリアの長期金利も上昇しており、イタリア国債は比較的安全資産とみなされて下落していたそうである。英国債も売られ10年債利回りは一時2.7%台に上昇。こちらは2011年8月以来となる。

 FRBの量的緩和縮小観測が要因とされるが、それとともに欧米の景気回復も背景にある。ユーロ圏の4~6月期の域内総生産(GDP)速報値は前期比0.3%増となり、7四半期ぶりにプラスとなり、リセッションから脱却した。この欧州のリセッションからの脱却の背景には、欧州の信用リスクの後退がある。サブプライム・ショック、リーマン・ショック、そして欧州の信用不安による世界的な金融経済危機が収束しつつあることが、今回の欧米の長期金利上昇の背景といえる。

 それに対して日本の長期金利は0.8%も割り込んで低位安定している。欧州の信用リスクが強まった際には、円が買われ株が売られ、安全資産として日本国債は買われた。欧州の信用リスク後退の波にアベノミクスがうまく乗って、円安株高を演出したが、そのアベノミクスの中核にあったのが、日銀による大規模な日本国債の買入となっていた。

 国債の年間発行額の7割も日銀が購入することで、市場機能そのものへの懸念も出ていたが、これだけの買入が行われている以上、余程の悪材料が出ない限り、需給面では支えられることは確かである。

 日銀の異次元緩和の目的のひとつが、銀行の国債投資から貸出などへのシフトであったが、国内銀行の預金に対する貸出金の比率(預貸率)は6月が70.4%となり、四半期ベースでは過去最低を更新した。このあたり異次元緩和の効果に対する疑問も出てくるが、それよりも銀行は引き続き国債投資に依存せざるを得ない状況にあることを示しており、日本国債が売られないひとつの要因となっている。

 このように需給面でみると日本国債が売られない、それはつまり日本の長期金利が上昇しない理由が存在する。政府は「デフレ状況ではなくなりつつある」としているが、この日本の長期金利を見る限り、いまだにデフレからの脱却が進んでいないことの現れともいえる。さらに債券市場参加者の多くが2年でコアCPI2%への上昇が現実的ではないと見ている。

 ただし、独英の長期金利と日本の長期金利のスプレッドがこのまま拡大していけば、日本の長期金利が何かしらのきっかけで跳ね上がるリスクも出てくる。日本の長期金利を押さえ込んでいたのは需給面やデフレだけでなく、リスク渦巻くなかで安全資産として買われていた面も大きかったはずである。さらに政府は消費税の引き上げを決めかねており、財政再建に対する実質的な国際公約が守られないリスクも存在する。日本の長期金利がこのまま低位安定すればするほど、いずれ大きな変動が待ち受けているように思える。

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by nihonkokusai | 2013-08-18 07:20 | 債券市場 | Comments(0)
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