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15日に長期金利は一時0.9%台に上昇

 5月15日の債券先物中心限月の6月限は前日比93銭安の141円18銭と大きく下落して寄り付いた。14日の債券先物の大引けは84銭安の142円11銭となり、その後のイブニング・セッションでは142円20銭、LIFFEの円債先物の清算値は142円17銭と少し戻していた。14日の米国債券市場では米債は売られ、10年債利回りは1.97%に上昇していた。この米債安は気になったものの、それでも今日は落ち着いた寄り付きになるのではと思ったが、急落しての寄り付きとなった。現物債は中長期債主体に売られ、5年債利回りは0.455%、10年債利回りは2012年4月以来の0.9%台乗せとなった。朝方から銀行などからの売りが持ち込まれた可能性がある。ただ、なぜここで売らなければならないのか。

 債券先物の日足チャートを見ると、4月4日の日銀による異次元緩和を受けて翌5日に債券相場は乱高下し、先物は143円10銭から146円41銭という大きな値動きを示した。その後は、徐々に値動きは収まって5日のレンジ内に収まり、次第に144円台半ばから後半主体の小動きとなっていた。

 ところが5月10日にドル円が100円台に乗せたことをきっかけに、10日の債券先物は144円45銭の寄り付き後サーキット・ブレーカーが発動し、143円43銭まで下落した。この日の現物債は全般に利回りが上昇したが、大きく利回りが上昇したのが10年債で2月25日以来の0.7%台乗せとなった。完全に地合が変化しており、かなりまとまった売りが10年債主体に持ち込まれた可能性がある。

 ここで注意したいのは、10日の欧米の債券市場でも国債利回りが上昇していたことである。日本国債の下落も意識されてドイツ国債の利回りは1.38%近辺に上昇。フランス10年債の利回りも1.96%近辺、オランダ10年債利回りは1.70%近辺、オーストリア10年債利回りも1.77%近辺に上昇。英国債の10年債利回りも1.90%と、それぞれ利回りが大きく上昇し、米国の10年債利回りも1.90%近辺に上昇していたことである。欧米の国債の下落もあり、土日を挟んで5月13日の債券先物も売りが先行した。

 13日に、テクニカル上も売りが入りやすかったとみられる債券先物は大きく下落し、先週末比55銭安の143円15銭で寄り付いた。寄り付き後、債券先物は4月5日の直近安値で下値の節目とも言えた「143円10銭」を割り込んだ。4月5日のレンジ内に収まっていた債券先物が、そこから脱してきたことで、これで相場の地合が完全に変化していることが示された。日銀は残存期間1年超5年以下と5年超10年以下を対象とした国債買い入れをオファーしたが、予想通りのオペが入ったことで、むしろあらためて売りも入りやすくなり、実際に後場に入ると再び下げ足を速め、債券先物は142円70銭まで下落し、サーキット・ブレーカーが発動した。10年債は0.800%まで利回りが上昇し、10日に続いて本日も0.1%を超える利回りの上昇となった。この日までの現物の売りは10年債が主体であった。

 14日の債券先物は買い戻しが先行したが、30年国債入札そのものは無難な結果となったものの、その結果を確認しての売りが入ったように思われた。10年債利回りは0.850%、そして5年債利回りは0.400%に上昇した。0.400%は5年債としては2011年7月以来の水準となる。この日の現物は10年債とともに5年債の下げが厳かった点に変化があった。新たな売りが5年債に入っていた可能性がある。地銀など銀行の売りが出ていたのではとの見方もあった。債券先物は一時前日比1円安となったが、当該値段以外で5分間取引が成立しない場合という基準に満たなかったことでサーキット・ブレーカーは発動しなかった。

 そして15日の朝方の相場急落と繋がるが、ここにきての債券相場下落は、102円台をつけた円安ドル高、15000円台を回復した日経平均と円安・株高がきっかけとなったことは確かだと思われるが、だからといって国債から株式への資金シフトが起きているわけではない。日本の機関投資家は簡単に運用方針を変更できないし、そもそも投資金額に大きな違いがあって、そのような資金シフトが原因とは考えられない。ただし、10日の売りが10年債と先物主導であったことを考えると、ヘッジファンドなどが債券先物売り、株先買いなどを仕掛けていた可能性は否定できない。

 14日からは中期債の下落も目立ち、リスク管理上による売りなどが入った可能性はある。そもそも流動性への懸念から、慎重となっていた投資家があらためて売りを出してきた可能性もある。年間発行額の7割強を日銀が購入するから長期金利は下がると、黒田日銀総裁は考えていたのかもしれないが、現実には池の中のクジラの出現で、市場が窮屈になってしまった分、流動性が後退し、投資家は国債を売買しづらくなり、むしろすでに根雪のように存在している700兆円もの国債の一部を売却してきたとも言えるのかもしれない。実際にメガバンクなどからは、「国債のリスク量を増やすつもりはない。サイズ感としては減らす」との意見も出ている。信じる信じないはさておき、2%の物価目標を打ち出して、将来の長期金利上昇も意識せざるを得ない面もあろうか。

 この長期金利の上昇がどこで止まるのか。2003年6月のVaRショック時にも意識されたとされる、銀行の貸し出し金利の水準などがひとつの目安との見方も。参考までに2月の貸出約定平均金利の長期の金利は0.942%となっている。15日の長期金利はその手前の0.920%で反転し、0.820%まで急低下したが、貸出金利が意識された可能性もある。

アベクロ政策と国債問題

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by nihonkokusai | 2013-05-16 09:47 | 債券市場 | Comments(0)
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