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日銀の当座預金残高がすでに70兆円規模に

 日銀の当座預金残高が17日の速報ベースで69兆7200億円となり、過去最高を記録し約70兆円近くとなった。下記データもどうやら毎日チェックしておく必要がありそうである。

資料、日銀当座預金増減要因と金融調節(毎営業日更新) http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu.htm

 2001年3月から2006年3月まで続いた前回の量的緩和の際には、この日銀の当座預金残高が目標とされ、最終的には30~35兆円が目標とされていた。当時のこの目標に比べて、すでに倍の規模になっている。

 そういえば岩田規久男日銀副総裁は就任前、どこかのサイトのインタビューにて、「インフレ率を2%にするためには、日銀当座預金を昨年末の約40兆円の倍、70~80兆円にすべきだ」と述べていた。日銀の大胆な異次元緩和で、すでにその目標値はほぼ達成されているようなのだが。

 それはさておき、ここにきて当座預金残高が大きく伸びた要因は、4月4日の日銀の量的・質的金融緩和の導入による効果、というよりも、それ以降の債券相場の乱高下が影響していたと思われる。

 5日の債券相場の乱高下にはこのコラムでも、また拙著「アベクロ政策と国債問題[Kindle版]」でも触れていたので、そちらを読んでいただきたいが、債券先物市場では5回に及ぶサーキット・ブレーカーの発動があった(5日に売りで2度、8日に買いで一度、10日のイブニング・セッションで売りで一度、12日のイブニング・セッションで売りで一度)。

 これに対して日銀が取った手段は、オペによりまず中短期の金利の跳ね上がりを抑えようとするものであった。

 中短期ゾーンの利回り上昇に歯止めを掛けるべく、11日の午前中に「初の」1年物の共通担保資金供給(全店、固定金利)オペ1.5兆円をオファーした。これはいわゆる「シグナルオペ」であった。「10時10分に打つのは普通は先日付本店オペなので、つまりは通常のタイムスケジュールを逸脱したオペという意思を示すオペ」(ベテラン市場参加者談)で、これは10年前のVaRショック、つまり国債の急落時にも実施されていた。2003年8月27日にオファーされた「手形オペ9か月」がそれであった。

 シグナルオペとは聞き慣れない用語であったかもしれないが、これは日銀がシグナルオペだと言っているわけではなく、短期市場での参加者が、何かしら日銀の意思を感じるオペであると思われるのでシグナルオペと呼んでいるものである。

 実は12日金曜日にも日銀は共通担保資金供給(全店、固定金利)を1.5兆円打ってきた。つまりシグナルオペを打ってきたのだが、この際には黒田日銀総裁の講演内容に目が向いて、債券市場では何となくスルーされていた感があった。

 シグナルオペは15日、16日も続くなど連日、日銀は積極的な資金供給を行った結果、16日までに合計11兆円以上の供給(日経新聞)を行ったのである。これにより、日銀の当座預金残高が予想以上のピッチで増加したのである。

 それで何か物価に影響を与えるような結果が出ている気配はあるのであろうか。17日の日経新聞のやさしい経済学では「期待や予想に働きかける政策の効果をどこまで理論的に示せるかは難しい課題」として、「どんな効果が出るのかは、実行してみないとわからない面が強い」と結んでいる。

 いわゆるブタ積みと呼ばれる、現金を見せてやる気を起こさせる作戦については、過去に経験済みながら、その額を極端に大きくさせるのが、今回の異次元緩和である。それでさっそく債券市場には動揺が入るなど、日銀が予想していなかったであろう事態が早速発生している。日銀がリフレ的な政策にこれまで踏み込まなかったのは、それによるトランスミッション・チャンネルがはっきりしなかった事に加え、その副作用についても考慮していたためと思われる。今後はそのあたりが試されることにもなる。とにかく実行してみないとわからない政策なのだから。

 今後の国債の動きには債券市場関係者ぱかりでなく、幅広く関心が高まる可能性がある。日銀の異次元緩和による国債市場の混乱を理解するには、国債そのものの理解も必要になる。そのためにはぜひ、出版された拙著「アベクロ政策と国債問題 [Kindle版]」をぜひダウンロードしていただけるうれしい。前作「アベノミクスを理解するための日銀入門[Kindle版]」と同様に牛さん熊さんの会話形式で読みやすくなっている。ぜひご一読を。
アベクロ政策と国債問題

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by nihonkokusai | 2013-04-18 09:46 | 日銀 | Comments(0)
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