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日銀の国債保有、銀行券ルールにかわるもの

 3月26日に日銀の黒田東彦総裁は、衆院財務金融委員会で国会に提出した「通貨及び金融の調節に関する報告書(半期報告)」について概要を説明した。その後、金融政策運営などをめぐり質疑に応じた。

 その一部をインターネットでの中継で見ていたのだが、20日に就任したばかりにも関わらず、適格な受け答えをしていたとの印象である。日銀総裁の仕事をはじめたばかりながら、このような報告と質問に答えるためには、それなりの準備も必要だと思われる。28日には参院での同様の報告が予定されている。日銀は臨時の金融政策決定会合を開催するとの観測というか思惑もあったが、このスケジュールから見てもそれは難しいのではなかろうか。無理に臨時会合を開かずとも、4月1日の日銀短観も確認し、3日、4日の通常会合であらためて次元の異なる大胆な金融政策を検討したほうが良いと思う。

 その次元の異なる大胆な金融緩和の内容は、26日の黒田総裁の発言内容からみて、どうやら現在行っている日銀の金融政策の整理統合とその拡張にあるようで、次元は異ならず、それほど大胆なものにはならないと予想される。その大胆さにも限度があるのは、財政ファイナンスとの線引きが必要になるためである。

 アベノミクスと呼ばれた政府の政策が期待に働きかけたように、新体制となった日銀も「大胆な」とか「無期限」、「無制限」などの言葉をうまく使い、コミュニケーション・ポリシーを重視するような政策を行ってくると予想される。2年間のうちに2%の物価上昇達成、というのもコミュニケーション・ポリシーを意識したものであろう。

 大胆な金融緩和の内容としては、資金供給手段として使われている通常の国債買入(輪番オペ)と基金による国債買入の統合がありそうである。国債等の買入を一本化し、毎月買い入れる国債の金額をはっきりさせ、その目標金額をこれまでの2本を合計したものとする。その金額もこれまでのものからさらに引き上げてくることもありうる。つまり2014年からスタートする予定であった月額の買入予定額の導入を輪番と統合して前倒してくることになるのではなかろうか。これについて、無期限の国債買入の前倒し、との表現はおかしい。そもそも2014年以降を無期限としていたわけであり、これは月額の買入方式を前倒しするだけで、無期限であることには何ら変わりはない。

 26日の黒田総裁は月額買入の額より重視すべきはストックと発言していたが、そのストックの額も目標に設定されることも予想される。輪番と基金の統合となれば日銀の資産の中の国債の額が目標値とされる可能性もあるが、それよりも量的緩和策の再導入ということで、再び日銀の当座預金残高を目標としてくることが予想される。すでに現在の政策でも今年末には80~90兆円程度に当座預金残高は積み上がることが想定されており、その金額を少なく見積もっても100兆円程度かそれ以上に引き上げることが予想される。現実に各金融機関が当座預金をそのまま残してくれるのか、そもそも当座預金残高を増やして本当に物価に働きかけられるのか、という疑問は残るものの、現時点で考えられるのは、このような目標である。

 日銀保有の国債残高に基金のものも統合してしまうと、銀行券ルールは完全に形骸化することになる。これについては新たな歯止めを作る必要もある。すでに形骸化しており、実質的な財政ファイナンスとされてもおかしくはないとの見方もあるが、ここに線を引くことは、象徴的な意味合いながらも重要なことになる。27日の日経新聞では、「一部には、決定会合で1か月程度かけて財政ファイナンス懸念の払拭策も検討したうえで、結論を得る案も出ている」としているが、これは次回の決定会合の大きなポイントになると個人的にも考えている。これにはたとえば、昨年12月末現在、国債(短期債除く)の全体に占める日銀の保有比率が11.6%となっているが、この数値にある程度の制限を設けるなどの方式もひとつの手段となるかもしれない。

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by nihonkokusai | 2013-03-28 09:20 | 日銀 | Comments(0)
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