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日銀総裁・副総裁と政策委員の対立はあるのか

 今朝のTBSテレビの朝ズバでも(あくまでコメントと写真だけの出演でしたが)指摘させていただいたが、日銀の仕事の中にあり、金融政策を決めるという仕事はあくまでその一部に過ぎない。日銀は国内唯一の発券銀行であり、銀行の銀行としての役割を持つ。日銀法によるとその目的は物価の安定より先に信用秩序の維持に資することを目的とするとある。日銀法第二条にもあるように物価の安定を図ることは「理念」という言葉に置き換えられている。日銀にとり、物価の安定よりも信用を維持することの方が重要となる。

 3月20日から執行部(総裁・副総裁)が入れ替わり、次元の異なる金融政策への期待が強まっている。そこで問題になるのは、金融政策で物価上昇を起こせるのかという問題だけでなく、信用維持に対しての影響は出ないのであろうかという点である。

 日銀の金融政策を決めるのは総裁ではない。もちろん委員会制なので多数決によるが、最終的に議長(通常は総裁)が多数の意見をくみ取る格好で議長提案を行って決定する。ある程度賛成多数で可決されるであろうとみてから議案が出されるが、過去には賛否同数となったケースもある。英国では総裁が出した案が否決されるケースがあるが、日銀ではそのケースはない。しかし、今後は総裁・副総裁と一部の政策委員の対立も予想される。

 その金融政策を決定する現在の政策委員の顔ぶれを確認してみたい。神戸大学教授であった宮尾龍蔵委員、2月の金融政策決定会合では、物価安定の目標の実現が見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策を継続するとの議案を提出した。この提案は今後議長案として出される可能性もある。

 東京電力出身の森本宜久委員、慶應義塾大学出身の白井さゆり委員は、これまで決定会合ではあまり動きを見せていない。

 住友銀行出身の石田浩二委員は昨年12月の日銀金融政策決定会合で、日銀当座預金に付与される付利金利を撤廃する議案を提出した。銀行出身者からこのような議案が出されるとは思わなかったが、その後の会合では同様の議案は出されてはいない。

 モルガン・スタンレー出身の佐藤健裕委員と野村證券出身の木内登英委員はマーケット関係者であり、当初はアンチ日銀として送り込まれたとの見方もあったようだが、そうではなかった。1月の会合で両委員は物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とすることに反対した。2%という消費者物価の上昇率は現状、持続可能な物価の安定と整合的と判断される物価上昇率を大きく上回ると判断し、目標を掲げるうえでは幅広い主体の取り組みが必要だが取り組みが進む前に2%の目標を掲げると金融政策の信認を毀損する恐れがあるとした。

 ここに3月20日からは黒田氏と岩田氏、中曽氏が加わる。黒田氏と岩田氏はより積極的な金融緩和策を実施してくるとみられるが、その具体的手段ははっきりしない。4日の国会での所信聴取では「物価目標の1日も早い実現が重要」との発言もあったようだが、これはたぶん佐藤委員と木内委員と真っ向対立となる可能性がある。そもそもアンチ日銀派とされる黒田氏と岩田氏に対し、日銀出身の中曽氏が対立し執行部がいきなり割れてくる可能性も否定はできない。

 3月20日就任後にいきなり臨時会合開催かとの観測もあるようだが、日銀のことを知り尽くしていた福井元総裁であればそれが可能であったが、少なくとも日銀の具体的な業務等についてはこれから知る立場にある黒田氏と岩田氏が果たしてそのようなことが可能なのかは疑問である。それでもアナウンスメント効果を意識して強行突破してくることも考えられなくもない。いずれにせよ臨時会合であれ、4月3日、4日の通常会合であれ、いったい新生日銀は何をしてくるのか。決定会合ではどのような議論が展開され、結果はどうなるのか。そしてそれを市場はどのように受け止めるのか。物価を重視するとすれば信認をどうするのか、今後の日銀への興味は尽きない。

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by nihonkokusai | 2013-03-05 11:17 | 日銀 | Comments(0)
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