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日銀法には書かれていない「独立性」との言葉の意味

 日銀法の第三条には、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」とある。第四条には、「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」とある。これについて、日銀による解説がありそれを確認してみたい。

 平成10年4月の日銀法改正の最大の眼目は、中央銀行としての「独立性」を法制度としても明確にすることでしたとある。

 「過去の各国の歴史を見ても、中央銀行の金融政策にはインフレ的な経済運営を求める圧力がかかりやすいことが示されています。物価の安定が確保されなければ、経済全体が機能不全に陥ることにも繋がりかねません。こうした事態を避けるためには、金融政策運営を、政府から独立した中央銀行という組織の中立的・専門的な判断に任せることが適当であるとの考えが、グローバルにみても支配的になってきています。新日銀法において、独立性確保がはかられているのは、こうした考えによるものです。」

 日銀法にはどこにも「独立性」という言葉は見当たらない。第三条にある自主性は、つまり独立性を意味していると言うことになろう。ECBなどでは「ECB及び各国中央銀行は、本条約及びESCB・ECB法により授与された権限の行使、任務の遂行にあたり、EU諸機関及び各国政府その他いかなる機関からも、指示を仰いだり、指示を受けたりしてはならない」とある。国を跨いだ中央銀行との違いはあるが、非常に強い独立性を持っている。これに対してイングランド銀行の独立性はあくまでも政策運営上の独立性に限定される。FRBの独立性は特に明文化されていない。その意味では、自主性という言葉ながら、日銀には法律上、独立性が与えられているとみて良い。

 日銀法四条には政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならないとある。2013年1月22日に発表した政府と日銀の共同宣言はこの四条に沿ったものと言える。

 安倍首相はその後も日銀法改正も視野に入れているといった発言をしている。この意味するところは何なのか。麻生財務相は31日の臨時閣議後の記者会見で、日銀法改正について、当面、改正するつもりはない。 その必要も特に感じていない、と述べているのだが。

   安倍首相がいまだ日銀法改正を口にしている要因はいくつか考えられる。ひとつはそれで圧力を掛けてさらなる金融緩和を促そうとしていること。さらに首相周辺に日銀総裁の解任権を政府が持つことを求める声まで出ていることも要因となっているのかもしれない。

 日銀総裁の解任権については、インフレターゲットの最初の導入国であったニュージーランドでの準備銀行法第49条で「準備銀行が、財務大臣との合意(PTA)に基づき決定された政策目標の達成を確保するにあたる総裁の実績が不十分であった」場合、総裁を罷免できるとされていることなどが理由になっていると思われる。ただし、ニュージーランドでは、金融政策は合議制の理事会(board)ではなく「総裁個人」で決められている点にも注意が必要である。また、過去に罷免権が行使されたこともない。

 日銀法が改正され、政府が日銀総裁の解任権を持つようなことになれば、まさに旧日銀法の時代に逆戻りすることになりかねない。政府により圧力がさらに掛かりやすくなる。中央銀行の独立性は歴史の過程で生まれた日銀券への信認を維持し、リスク回避のための仕組みである。それはインフレのために生まれた対応だろうと言われるかもしれない。しかし、そのインフレを引き起こそうとしている今こそ、そのような歯止めまで奪うことをすれば、ブレーキの欠如したクルマになりかねないのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2013-02-02 09:25 | 日銀 | Comments(0)
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