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2013年度の国債発行計画の解説

 財務省が1月29日に発表した2013年度の国債発行計画によると、新規財源債が42兆8510億円(前年度当初44兆2440億円、補正後49兆4650億円)、借換債が112兆1806億円(うち復興債分3兆6690億円、前年度当初112兆3050億円)、財投債が11兆円(前年度当初15兆円)、そして復興債が1兆9026億円(前年度当初2兆6823億円)となった。

 これにより2013年度の国債の発行総額は170兆5452億円(前年度当初174兆2313億円)と、前年度の当初ベースから3兆6861億円の減少となった。2012年度の補正予算後は180兆5266億円となっており、ここからは9兆9813億円の減少となった。当初ベースでの発行総額は昨年を下回った。

 国債の消化別発行額を見るとカレンダーベースの市中消化額は、156兆6000億円(前年度当初149兆7000億円)と、2012年度当初から6兆9000億円の増額。カレンダーベースでの国債消化額とは、4月から翌年3月にかけて入札により発行される国債の金額である。これは年度の国債発行総額とは異なる。その理由は入札以外で発行される個人向けの国債や日銀乗換があるとともに、市中消化分には第2非競争入札による発行があり、さらに国債は前倒し発行と出納整理期間内発行が可能なため、年度間の調整分等が存在しているためである。

 第2非競争入札による予定発行額は4兆4775億円(前年度当初4兆1850億円)となった。年度間調整分については、前年度は前倒し債発行による調整分が6463億円となっていたが、2013年度は出納整理期間内発行分もあり、マイナスの4兆2323億円となった(前年度当初比マイナス4兆8786億円、補正後からはマイナス10兆263億円)。

 日銀乗り換えが11兆7000億円(前年度当初16兆7000億円)、個人向け販売分が2兆円(前年度当初3兆円、補正後2兆4000億円)。個人向け販売分の内訳としては、個人向け国債が1兆6000億円、新型窓販などの窓販分が4000億円となっている。

 買入消却は総額2.7兆円を上限に実施される。来年度における前倒し債の発行限度額は20兆円となった(前年度当初は12兆円)。

 カレンダーベースの市中消化額は、補正で10年債と5年債をそれぞれ一回あたり2.4兆円、2.7兆円に増発されており(2月債より)、その金額が4月以降も継続される。これに加え、2年債を一回あたり2.7兆円から2.9兆円、そして30年債を7000億円の8回発行から毎月発行になり、5000億円を4回、6000億円を8回となる。さらに物価連動国債を年度間で6000億円発行する予定。これにより、今年度当初に比べ合計6.9兆円の増額となる。

 年限別に観ると、40年債が5月、8月、11月、2月の4回の発行予定で一回あたり0.4兆円、30年債は5月、8月、11月、2月が5000億円、その他の月が6000億円の発行予定。20年債は一回あたり1.2兆円のまま、10年債は2.4兆円、5年債は2.7兆円、2年債は2.9兆円を、1年割引短期国債は2.5兆円がそれぞれ毎月発行される。6か月割引短期国債は発行予定はない。10年物の物価連動国債が年間で6000億円。流動性供給入において0.6兆が毎月発行されることで、全体のカレンダーベース消化額合計が156.6兆円となる。

 カレンダーベース市中発行額の平均償還年限は、7年11か月と前年度当初の7年9か月からさらに長期化。

 国債整理基金特別会計の基金残高約10.2兆円のうち、7.2兆円を取り崩して新年度の国債償還資金にあてることから、予想されていた120兆円弱の規模からほぼ2012年度並の112兆円程度に減額された。年度中の不測の事態に備えてストックされていたものを取り崩すことにより、万一の危機の際に備えて、政府は日銀との間で、危機の際には短期の資金を借り入れることで合意し、29日に日銀は「対政府取引における非常時の一時貸付けに関する特則」を発表した。

 新規国債発行額(42兆8510億円)が税収(43兆0960億円)を下回り、国債発行額が税収を上回る異常事態はとりあえず解消された格好。2013年度の公債依存度も46.3%に低下した(2012年度47.6%)。ちなみに国債費の積算根拠となる10年債の想定利回りは前年度の2.0%から1.8%に引き下げられている。

 2013年度予算としてみれば、政府の財政再建に向けた動きを示すものとなる。ただし、これについては厳密には今年度補正も加味して考える必要もある。

 その補正に関わる国債発行額が5兆円規模あり、さらに日銀乗換分が5兆円程度減少し、個人向けの国債も前年当初から1兆円減少するため、それも市中消化の分にオンされる。それに対して借換債の発行額を抑え、新規財源債も前年当初からは減額され、財投債も減額されたことで全体の発行額が抑えられ、その結果として市中消化額は前年当初に比べて6.9兆円の増額に止められたと言える。

 それは前年度補正後の5年債、10年債の発行規模を維持した上、国債市場特別参加者会合でも示されていた2年債や30年債の増発でカバーされた格好となり、ほぼ市場参加者の予想の範囲内とも言える。国債需給の面でも投資家ニーズは強い上、日銀による国債の買入等の影響もあり、特に問題はない。これにより今回も翌年度の国債発行計画の発表が、国債市場に大きな影響を与えるようなことは考えづらい。


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by nihonkokusai | 2013-01-31 09:18 | 国債 | Comments(0)
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