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「量的緩和政策の副作用」

 経済同友会は「量的緩和政策からの転換に向けて」という意見書を提出し、日銀の量的緩和解除に向けての姿勢をフォローしている。そして、この中で量的緩和政策の評価とともに副作用についてまとめている。

 その前に18日の福井総裁会見においても、総裁は量的緩和政策の副作用について触れていたため見てみたい。

 「量的緩和政策のコスト、ベネフィットについてバランス・シートの計算が終わったわけではない。しかし、ごく大掴みに一般論で言えば、量的緩和政策は、経済を健全に運行していくメカニズムの中で一番大事な金利メカニズムを封殺しながら運営してきている。そのような大きな犠牲を払いながら、デフレ・スパイラルから脱却するためのかなり異例な措置であるという点を忘れずに、私どもが今後することについて、なぜそのような転換が必要かを是非正しく理解して頂きたい。」

 「量的緩和政策は、あくまでもデフレ・スパイラルに陥って経済が死んでしまうことを捨て身で防ぐための異例な措置であり、これには大変コストがかかっている。金利機能を封殺しているし、多くの消費者の皆さんも、ほとんど一文も預金利息を受け取れないという犠牲を払ってこの政策を支えている。」

 それでは、経済同友会は「量的緩和政策からの転換に向けて」における副作用について見てみたい。

 まず指摘されているのが、「短期金融市場では金融機関の信用力に応じたレートが付いておらず、銀行貸出市場や資本市場でも信用スプレッドは異常とも言える縮小状態が続いている」このために「信用力の低い債務者が自らのリスクに応じた対価を十分負担しておらず、債権者に相対的に大きなリスクがシワ寄せされている」と指摘している。そして「企業に対する金融市場による規律付けが不十分」になる懸念を示している。

 二番目に指摘しているのは、総裁会見にもあったが、「適正な金利収入の喪失」である。「経済が正常化する状況でも従前どおりの量的緩和政策と超低金利が継続され、金利水準が適正水準より低位に止まるのであれば、企業・家計にとって本来得られた金利収入が失われる恐れがある」。これは我々の生活にも直接関わっている部分である。そしてこれは「リスクシェアリングの一つの側面でもある」とも指摘している。

 そして、三番目に指摘しているのが「財政規律の低下に伴う金利急騰懸念」である。「量的緩和政策によりもたらされた長期金利の低位安定により、国および地方公共団体など公的部門は、個々の財政状態にあまり左右されず極めて低金利での資金調達(国債、地方債の発行等)が可能であった。今後、財政改革を進めていくにあたり、公的部門が資金調達する際には、そのリスクに見合った金利が付される必要があるが、今のままでは、金利を通じた財政規律が不十分となる恐れがある。これによって財政赤字の削減が遅れ、わが国財政、ひいては国債に対する信認が低下する場合には、金融市場において長期金利が急上昇し、経済を混乱させる恐れがある」。まさに日本国債は危なくなってしまう点を強調。金利急騰とはならないまでも、財政規律が低下してしまうリスクは十分にある。ある程度のストレスにさらされる必要はあるものと考える。

 次に指摘しているのが、「実体経済と乖離した資産価格の上昇」である。まさに土地や株など資産バブルの崩壊を懸念している。

 最後に「将来の適切な金融政策実現への制約」を懸念している。これは福井総裁にとっても大きな懸念材料であると思われる。状況によっては「超低金利から金融引き締めの方向へと急激な政策転換を強いられる可能性」もあることを指摘している。
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by nihonkokusai | 2005-11-22 10:08 | 日銀 | Comments(0)
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