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「日銀総裁会見内容検証」

 注目された18日の福井日銀総裁会見内容から注目すべき部分をピックアップしてみたい。

 「3つの条件とおっしゃるが、基本的には、消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になったかどうかを皆で確認し合うということであるので、かなり的を絞って皆様が同じものを見ることができる。」

 3つの条件を満たすということは、コアCPIが安定的にゼロ以上になったかの確認であるとの認識である。しかし、日銀に理解を示しているとの与謝野金融経済財政担当相も「量的緩和解除の第三条件、全体考えて判断する余地ある」とのコメントをしているように、条件に対しての認識は日銀とはやや距離がある。この溝をどのように埋めていくのかが今後の大きな課題とも言える。

 「将来にわたって予見し得ない様々なショックが起こり得る可能性があるということは、すべての国の中央銀行が十分念頭に置きながら、そういう意味ではある程度リスクをとりながら政策運営をやっていかざるを得ない。予見し得ないことまですべて織り込もうとして、手をこまねいてタイミングを失するわけにはいかない。」

 これも市場関係者からもよく指摘されるように、もし仮に量的緩和解除後に景気の悪化などがもたらせられたらゼロ金利解除時の二の舞になるのではとの懸念に対する総裁の答えのひとつである。

 「日本経済については、特に民間部門での過去10年以上にわたった厳しい努力の成果として、ショックに対する脆弱性がかなり消えた。つまり、ショックに対してそれを吸収する力がある程度ついてきている。しかし、それにかまけることなく、私どもは先行きを見極める目をしっかり持って判断していきたいと思っている。」

 2000年8月のゼロ金利解除時と大きく異なるのはファンダメンタルの状況にある。2000年時の日本の景気回復については本格的なものとはいえなく脆弱性もあった。しかし、ゼロ金利導入時の経緯から見て、この一時的に取らざるを得なかった政策は早急に元に戻して、日銀としてのフリーハンドを取り返そうとの動きでもあったかに思える。ところがITバブルの崩壊は日本経済の当時の脆弱性を露呈させてしまい、その非が日銀に集中してしまった。このタイミングの悪さといったものは当然ながら福井総裁も十分に知りぬいているはずである。あのときと現在では、日本経済の基礎体力が違っていることを総裁は示唆しているものと思われる。

 「量的緩和政策が、重い文鎮を置くあるいはコミットメントを置くというようなかたちで金利機能を金縛りにしているという状況に比べると、単純なゼロ金利政策は、イールドカーブの一番期間の短い金利の部分のみを調節の結果としてゼロに抑えるということであるので、金利機能を抑圧するという度合いは随分違うとご理解頂けると思う。」

 量的緩和政策とゼロ金利政策の違いの説明ともなっている。「重い文鎮」とか「コミットメントを置く」との表現は面白い。量的緩和政策の現実的な効果といったものはいかほどであったのか図るのは難しいが、心理的に与えていた影響はそれなりに大きなものがあったはずである。なんといっても諸外国から福井日銀総裁はかなり高く評価されていたのもその現われであったはずである。ただし現場サイドからは、量を増やすことに対してその効果のほどを疑問視する声が多かったことも確かではあった。

 そして記者から「政府の中では、生鮮食品とエネルギーを除くというかたちで数字の公表を検討している」件についての総裁の答えは以下のとおり

 「先程も申し上げた通り、生鮮食品を除く消費者物価指数すなわち日本のコアの消費者物価指数は、おそらく非常に多くの国民の皆様が経済活動、経済生活をしていく中で、一番わかりやすい指標だと思う。これを共通の基準として約束してきているので、あまり技術的な理由で中身を入れ替えるようなことをして、また国民の皆様に頭の中で整理し直して頂く必要はないのではないかと思う。私どもは従来から約束している基準で最後まで一緒に見させて頂く。」

 日銀の解除に向けて姿勢に反対する人たちはあれやこれやと理由付けをしようとしているが、本来の約束は現状のコアCPIにある限り、新指標をもって解除できないとの理由にはならない。もちろんその数値をまったく意識するなということではないが。

 そして最後に総裁は、下記のように現在の日本経済の姿について再度コメントしている。まさに「日本経済は(解除をしても)危なくない」と私も思う。

 「ここまで日本経済において、特に民間部門の構造改革が進み、バランス・シートの健全化が進み、イノベーションが強いという経済を前提とした場合、何か強いショックが来たからといって単純に量的緩和政策に戻らなければならないような弱い経済であろうか。その点を私どもはしっかりと点検した上で量的緩和政策の枠組みの修正に踏み切るということである。」
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by nihonkokusai | 2005-11-22 10:06 | 日銀 | Comments(0)
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