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2012年の債券相場を振り返る

 今年の債券相場は債券先物で142円53銭、10年債利回りは0.990%と1%割れでのスタートとなった。1月25日に発表された2011年の貿易収支は31年ぶりの赤字となったが債券市場への影響は限定的であった。1月24日から25日にかけて開かれた米FOMCでは、現在の超低金利政策を2014年の遅い時期まで続ける方針を打ち出し、長期的なインフレ目標として個人消費支出(PCE)物価指数の前年比2%上昇を掲げた。

 2月14日の日銀の金融政策決定会合では、中長期的な物価安定の目途として消費者物価指数の1%を掲げ、資産買入等の基金を10兆円増額した。14日の債券先物はこの発表を受け、一時1円近く上昇し143円37銭をつけた。2月24日の外為市場で円は急落し、ドル円は81円台、ユーロ円は109円台をつけた。この円安が支援材料となり27日の東京株式市場は買いが先行し、日経平均は約半年ぶりに9700円台を回復した。

 ギリシャ債務交換への参加が十分な水準に達するとの期待の強まりなどから、3月9日に日経平均は一時1万円を回復するなど株式市場は切り返してきた。米債安もあり、3月14日の10年債利回りは1月25日以来の1%台乗せとなった。14日の米債券は大幅続落となり米10年債利回りは2.28%近辺に上昇。外為市場では円安が進み、債券先物はさらに売り込まれ、16日に140円99銭まで下落、しかし、その後切り返して29日には142円台を回復した。16日までの円債はあくまで一時的な調整売りが入ったに過ぎず、その後は投資家の押し目買いにより相場は反発した。

 実質新年度入りしての債券相場は、銀行による期初の売りが入ったとみられ、売りが先行した。4月2日の債券先物は141円67銭まで下落。FRBによる追加緩和への思惑が後退し、米10年債利回りは2.3%近くまで上昇した。その後欧州の信用不安再燃への思惑から円高が進み、米10年債利回りは2%を割り込み、日本の10年債利回りも11日に0.935%まで低下した。4月23日の約定分から、国債取引の決済期間が現行のT+3からT+2に短縮されたが、事前の準備は進められていたとみられ、特に混乱はなかった。27日の金融政策決定会合では資産買入等の基金を5兆円程度増額し、国債買入は10兆円の増額となり、買入対象となる長期国債の残存期間も1年以上3年以下に延長された。これを受けて10年債利回りは0.885%に低下した。

 5月6日のフランス大統領選挙ではオランド氏の当選が確実となり、ギリシャの議会選挙は連立与党が過半数割れとなった。ギリシャでは再選挙の可能性が高くなり、ギリシャがユーロ圏を離脱するのではないかとの懸念も出た。リスクオフのムードが強まるスペインの金融システムをめぐる懸念も強まり、ドイツの10年債利回りは1.5%割れと過去最低水準に低下した。ギリシャの連立協議は決裂し6月の再選挙が確定。17日にムーディーズはスペインの銀行を格下げした。欧州への懸念が再燃しリスクオフの動きを強め、外為市場ではユーロが売られ、ユーロ円は100円台に。17日にドイツの10年債利回りは1.42%近辺と過去最低を記録し、米10年債利回りも昨年9月につけた1.67%付近まで低下した。24日にフランスの5年債利回りは過去最低を記録し、英国の10年債利回りも過去最低を更新した。29日の2年国債入札は事務トラブルが原因で再入札となったが、応札倍率は10倍近いなど順調な結果となった。

 ドイツ、フランス、オーストリア、ベルギー、オランダ、フィンランドの10年債利回りは過去最低水準に。英国の10年債も一時1.5%割れとなり、米国の10年債も一時1.44%近辺と過去最低水準に低下した。6月4日に日本の10年債利回りは2003年7月1日以来となる0.8%割れに。スペインの格下げなどもあり、スペインの長期金利は一時7%を上回るなどしたが、ドイツ国債や英国債の利回りも下落基調となり、やや動きに変化も見られた。7日のギリシャの再選挙では緊縮派の2党が過半数を制し、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性は後退した。22日にECBが資金供給オペの担保の基準を緩和する方針を発表し、スペインの10年債利回りは6.4%近辺に低下した。26日には社会保障の税の一体改革法案が衆院で可決され、これは債券相場には好材料と捉えられ、28日に10年債利回りは0.8%ちょうどまで低下した。28日からのEU首脳会議では、ユーロ圏の銀行の監督制度を統一し、EFSFとESMを活用して金融市場で国債を支援することも認められるなど銀行監督・国債支援で合意した。これを受けて29日の債券先物は143円65銭まで下落し、日経平均は一時9000円台を回復した。

 7月5日のECB政策理事会やイングランド銀行のMPCでは予想通りの追加緩和を決定したが、場ではECBに対し国債買入等の踏み込んだ対策を期待していたことで、スペインやイタリアの国債は再び売り込まれた。債券先物は6月4日以来の144円台を回復。スペイン10年債利回りは7%を超え、イタリアの10年物国債の利回りも6%台まで上昇した。ドイツの2年債利回りはついにマイナスとなり、9日に日本の10年債も0.8%割れとなった。スイスやドイツ、デンマークの2年債利回りはすでにマイナス圏にあったが、フランスやベルギーの短期国債の利回りもマイナスに。18日にはスペインの10年債利回りは再び7%台に上昇した。日本の10年債の利回りも20日に0.735%と2003年6月27日以来の水準にまで低下。18日に日銀は国債買い入れの残存期間1年以下を対象に0.1%の下限金利を撤廃した。20日にスペインのバレンシア州は中央政府に対し金融支援を要請し、スペインは全面的な財政支援の要請を余儀なくされるとの懸念が強まった。スペインの10年債利回りは7.7%近辺まで上昇した。ドイツ、フランスやベルギーの10年債利回りは過去最低水準に低下した。米10年債利回りも低下し1.4%を割り込んだ。このため、円債も買いが入り23日から25日にかけての債券先物は144円64銭まで買われ、10年債利回りは23日から26日にかけて利回りが0.720%まで低下した。7月26日にECBのドラギ総裁は講演で、高利回りの問題はECBの責務の範囲内にあるとし、ECBは責務の範囲内で、ユーロ存続のために必要ないかなる措置をも取る用意があると表明した。27日にはドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領は28日に電話で会談し、両国がユーロ圏防衛であらゆる措置を取ることで合意したとの声明を発表した。このため、30日の債券先物は下落し144円07銭の安値引けに。

 8月7日に自民党が衆院への内閣不信任決議案や、参院への首相問責決議案を提出する構えを見せていることが明らかとなり、消費増税の行方が不透明となった。さらに債券先物でシステム障害が発生したことから、売りが現物債に持ち込まれ、取引が再開されてからの先物にも入った。東京株式市場は上昇していたこともあり、7日から8日にかけて債券は下落ピッチを早め、10年債利回りは0.8%台に上昇した。債券先物も144円を割り込み、8日には143円75銭まで売られた。欧州では再びギリシャの債務に関する交渉などの行方が気になり、再びリスクオフの動きが強まった。

 9月6日のECB政策理事会では償還期間1~3年の国債を無制限で買い入れることを決定した。これを受けイタリアやスペイン、ポルトガルの国債が買われ、ドイツ国債や米国債は下落した。欧米の株式市場は軒並み上昇しダウ平均はリーマン・ショック後の高値を更新。債券先物は売りが先行し144円を割り込み、10年債利回りも0.820%に上昇した。13日のFOMCでFRBはMBSを毎月400億ドル買い入れるなどの追加緩和策を発表。14日の債券相場は日銀の追加緩和への期待も手伝って買われ、10年債利回りは0.8%割れとなった。19日の日銀金融政策決定会合では資産買入等の基金を10兆円程度増額するという追加の緩和策を決定した。さらに買入における下限金利を撤廃した。この追加緩和により、市場でのリスクオンの動きを強めることになり、日経平均は上昇し9200円台をつけ、債券は戻り売りに押され、10年債は0.815%に後退した。しかし、スペインやギリシャの債務問題への警戒感が再燃し、27日の日本の債券先物は144円25銭まで買われ、現物10年債利回りも0.770%に低下した。

 ドラギECB総裁は会見で債務危機克服に慎重ながら楽観論の兆候があると指摘し、10月12日のユーロ圏の債券市場では、域内17か国の国債利回りが揃って低下した。ギリシャがユーロ圏を離脱するとの観測が後退し、15日のギリシャの10年債利回りは大きく低下した。17日にムーディーズはスペインの格付けを据え置くと発表し、これが好感されてスペインの10年債利回りは今年4月以来の水準に低下。ドイツや英国、米国債は大きく下落し米10年債利回りは1.8%近辺に上昇した。18日の債券先物は売りが先行し143円79銭まで下げ、10年債利回りも0.795%に上昇した。10月29日から30日にかけてはハリケーンの影響で、米株式市場は2日間に渡り閉鎖され米債券市場も30日は休場となった。30日の日銀の金融政策決定会合では、資産買入等基金の規模の11兆円増額を決定した。決定会合後に公表文とともに日銀総裁と財務相・経済財政相の連名による「デフレ脱却に向けた取組について」という共同文書が公表された。これを受けて今後の追加緩和期待も手伝い、外為市場では円高の動きも一時的となり、東京株式市場も堅調地合となった。

 11月7日の米大統領選挙では、オバマ大統領が再選を果たしたが、米議会はねじれの状態が続く中、財政の崖への警戒感が強まり、7日のダウ平均は312ドルもの下落となった。8日の債券先物は買いが先行し、特例公債法案が審議入りしたことで超長期債に買いが入ったこともあり、債券先物は144円50銭まで上昇した。8日のダウ平均は前日比121ドル安と大幅続落となり、米10年債利回りは1.62%近辺に低下。円高の動きも手伝い、9日の債券先物は144円61銭と今年の最高値に接近した。14日の党首討論で野田首相は16日に衆院を解散する方針を表明し、解散総選挙の日程が具体化した。これを受けて14日夕方以降の外為市場で円売りが進んだ。安倍自民党総裁は11月17日に熊本市内で講演し「建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう」と述べ、日銀が建設国債を全額引き受けるのが望ましいとの考えを表明した。この発言等を受けて円安が進行。債券先物は144円53銭まで下落する場面もあったが、日銀への緩和圧力の強まりもあり下値も限定的に。ギリシャへの次回融資についてドイツのメルケル首相が26日の再協議で合意できる可能性があるとの見方を示し、ドル円は82円台半ば、ユーロ円は一時106円台と円安がさらに進行した。22日の日経平均は9300円台を回復。27日にユーロ圏財務相とIMFは、ギリシャ融資の実施や債務削減策で合意した。しかし今度は米国の財政の崖問題への警戒感が強まり、米債は買われ10年債利回りは1.65%近辺に低下した。28日の債券先物は144円80銭まで上昇し、2003年6月以来の水準に。

 欧米市場ではギリシャの信用不安がやや後退したものの、米国の財政の崖問題は解決の糸口が掴めず、ドイツやスイス、フランス、そして米国の国債などには安全資産としての買いが入った。6日に10年債利回りは0.685%まで低下した。債券先物は12月10日に前後場での3月限の出来高が12月限を上回り、実質的に中心限月が3月限に後退した。11日が最終売買日となった先物12月限はこの日に145円30銭をつけて、2003年6月11日につけた債券先物の過去最高値の145円28銭を更新した。しかし、欧州では信用不安が後退し、日銀の追加緩和期待などを背景として円安が進行したことから、日経平均も上昇基調に。12日の米FOMCでは月450億ドル規模の米国債購入を決定し、失業率に対する数値目標を設けるなどしたが、これはむしろインフレ懸念等から米債には売り要因となった。2月16日の衆院総選挙において、自民・公明両党は、衆議院のすべての議席の三分の二を上回る議席を獲得した。これを受け円安の流れが加速し、大型補正予算編成への思惑等から日経平均は19日に1万円台を回復した。20日の金融政策決定会合で日銀は資産買入等基金の10兆円増額等を決定した。これにより買い戻しが入る場面もあったが、10兆円規模とされる大型補正予算が編成される可能性が高まり、それによる国債増発も意識されてか債券下落基調となり、27日に10年債利回りは0.8%台に上昇した。

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by nihonkokusai | 2012-12-31 10:16 | 債券市場 | Comments(0)
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