牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

債券先物は鬼より恐い一文新値天井をつけたのか

 長らく債券ディーラーをしていたが、その際には昔ながらの相場の格言を重要視していた。絶対に格言が正しいとは言い切れないが、その格言には何かしらこれまでの相場師が肌で感じたことが込められていると思う。実際にローソク足などを見ると、相場格言が生かされることが多々あった。このため、それを信じる信じないはさておき、それが示唆する動きに警戒することは重要であると思う。

 その相場格言のひとつを久しぶりに聞いた。しかも、債券相場に関してである。それは「鬼より恐い一文新値天井」という格言であった。文(もん)とは、昔の貨幣単位である。この場合の新値とは高値のこと示し、過去最高値や年初来の高値などが該当する。この格言の意味は、前回の高値を僅か一文(その相場の最低単位)上回ったところで上昇が止まってしまうと、その後、売り圧力が強まるので注意しろという格言である。1文としているが、かならずしも1文というわけでなく、語呂が良いのでそういう格言となったとされる。

 これが形成されると売り方は、売り崩しの絶好のチャンスと捉えて一気に攻撃を仕掛けてくるとされる。つまり鬼でさえ怖がる天井ということを示している。実はこれがどうやら日本の債券先物で起きたようなのである。

 12月11日に12月限が145円30銭まで買われ、2003年6月11日につけた過去最高値の145円28銭を更新した。つまり2003年6月11日につけたこれまでの過去最高値の145円28銭から、わずか2銭だけ上回ったのである。1銭ではなく2銭ではあるが、もしここで上昇が止まれば、一文新値となる。

 12月12日からは3月限が中心限月となったが12月と3月ではスプレッドが約50銭程度あり、3月限の12日の寄り付きは144円71銭となっていた。このまま3月限が145円30銭を上回れば、格言は生かされないが、債券相場は13日以降はむしろ大きく下落し、14日には144円30銭も割り込み高値からは1円近く下げた格好となった。もしこのまま新値をトライできないとなれば、鬼より恐い一文新値天井が成立する。現実に12日から14日の相場の動きからもそれを感じさせるものとなった。

 円安株高債券高という状況から、世界的なリスクオンの動きの強まりや米債の下落なども手伝い、円安株高債券安という状況に変化してきた。19日、20日の日銀の金融政策決定会合の動向も気になる。安倍政権が誕生するが、日銀にさらなる緩和圧力が強まったとして、それが素直に債券買いになるかどうかも疑わしい。また、財政拡大へのリスクなども強まる懸念がある。

 債券先物が過去最高値を更新するぐらいに買い進まれていた債券相場であるが、総じて動きそのものは鈍かった。そしてこの動きは2003年6月の動きとも酷似している。あのときは6月17日の20年国債入札をきっかけにVARショックと呼ばれた国債の急落があった。12月18日にはやはり20年国債の入札を控えている。年末に向けて日本の債券相場が大幅な調整を迎える可能性もありうる。

 キンドルの電子書籍にて書き下ろしました「超低金利時代の終わり -そして、日銀による国債引受のリスク-」(定価300円)にも日銀の国債引受のリスクについて書いてます。是非、読んでみてください。

「超低金利時代の終わり -そして、日銀による国債引受のリスク-」


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2012-12-17 09:16 | 債券市場 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー