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円安・株高、債券高の謎

 謎というのもおかしいかもしれないが、何故そうなったのかについては、背景にいくつかの要因が存在している。まず今回の相場で大きなキーとなるのが円安である。この円安の背景には、世界的なリスクオフの流れが一服したことが上げられる。これはスペインやイタリアの長期金利の動向をみれば確認できる。

 もうひとつ日本の貿易収支の赤字により、経常収支の黒字幅が減少しつつあることも、今回の円安の背景となっている。一時的に海外でのリスクオフの動きに覆い隠されていたが、そのベールがはがされると円に対しては売り圧力が掛かりやすい。

 そして、12月の総選挙を控えてデフレ脱却として、日銀への追加緩和圧力も円売り要因となっている。特に自民党が過半数を超えるとの予想も出ており、自民党が政権を取れば日銀はかなり積極的な追加緩和を迫られ、さらに来年3月の日銀副総裁人事と4月の総裁人事にも影響が出る可能性があり、こちらも円売り要因となる。

 日本の株式市場は円高圧力により低迷していた部分があり、その円高という足かせがなくなれば、ある程度戻りを試すことが想定された。ここにきての株高もある程度、想定の範囲内であろう。

 そして債券相場であるが、正直言えばここまで再び戻りを試すことは想像していなかった。しかし、日本だけでなくスイスの長期金利も過去最低、つまり地球の歴史上、最低の長期金利を更新しつつある。また、フランスの長期金利もユーロ導入以来初めての2%割れとなっている。

 スイスについては金融大手クレディ・スイスが12月10日から、銀行間の取引に利用されるスイスフラン建ての預金にマイナス金利を適用することなども影響しているとみられるが、超低金利状態は続いている。米国やドイツの長期金利も比較的低位で安定している。

 その中にあり、日本の債券相場も今後のリスクも気になる以上、なかなか積極的に買えない状況にあった。しかし、日銀の追加緩和観測もあり、投資家も手元資金がある以上、どこかのタイミングで買いを入れざるを得ない。そのきっかけが12月6日の30年国債入札であったのかもしれない。それまで上値が重かった超長期債が一気に買われたのである。

 債券先物も2003年6月10日の中心限月としての過去最高値(参考値)の145円9銭を抜けて、実質的な債券先物の最高値145円28銭に迫った。このあたりの買いの背景には、再び売りを仕掛けてきたとみられる海外ヘッジファンドの買い戻しなども入った可能性もある。

 債券相場の買いの背景にも当然ながら日銀の追加緩和期待もあり、いわゆる金融相場が形成されつつあるとの見方もできる。それであれば株高・債券高の説明もしやすい。しかし、あくまで現在の日本の相場は期待先行である。衆院選の結果が出ると、今度は現実と向き合う必要がある。日銀法を改正してまでのリフレ的な金融緩和はかなりのリスクを伴う。本当にそれを行ってくれば、債券市場関係者は再び警戒感を強めよう。ところがそんなことは現実に難しいとなれば、今度は株式市場が警戒感を強めることになるかもしれない。

 いずにせよこの金融相場はあまり長続きはしないことは確かではなかろうか。このあとどのような相場展開となるのか。日本で金融政策等の舵取りを謝ると金利そのものが大暴れしてくる懸念もある。そのあたりも今後は注意して見て行く必要があると思う。

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by nihonkokusai | 2012-12-10 09:34 | 債券市場 | Comments(0)
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