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カナダ人のカーニー氏がイングランド銀行総裁に

 英国政府は11月26日に、英国の中央銀行であるイングランド銀行のキング総裁の後任にカナダの中央銀行であるカナダ銀行のマーク・カーニー総裁を任命すると発表した。

 現在のイングランド銀行総裁はマーヴィン・キング氏である。キング総裁は2003年6月30日に前任のエドワード・ジョージから引き継いで総裁就任し、任期は2013年6月30日までとなる。

 イングランド銀行総裁の人事については、副総裁含めて、首相の助言に基づいて女王が任命する形式となっている。任期は5年で再任できる。人選にあたっては財務省の影響が大きく、これまでは現役の総裁や財務次官などと検討し、財務相が首相に候補者を推薦する格好となっていた(このあたりは日銀総裁人事とも似ているか)。ちなみに現在のキング総裁は副総裁から総裁に就任した。

 イギリスのオズボーン財務相はキング総裁の後任について、9月に公募する方針を明らかにしたが、どうやらこれはいわゆる出来レースとなっていたようである。つまり、オズボーン財務相が白羽の矢を立てていたのは、そのときすでにカナダ銀行のマーク・カーニー総裁であったようである。11月28日の日経新聞の記事によると、10か月かがりで説得したとある。オズボーン財務相は公募について「公正で開かれた手続きで行う」と述べ、選考過程の透明性を高めるためだと説明したようだが、どうやらこれは別の意図もあったように思われる。

 次期イングランド総裁候補にはタッカー副総裁が最有力とされていたものの、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作問題で関与が疑われたことがネックとなったようである。また、ターナーFSA長官との声もあったようだが、こちらも中銀保有国債の償却発言などがネックとなったのかもしれない。ただし、この時点でカナダ銀行のカーニー総裁を推す声もあるとの指摘もあった(共同通信)。少し、情報は漏れていたのかもしれない。

 中央銀行総裁に外国人を起用するのは極めて異例であるが、これはある意味、イングランド銀行らしいものでもあった。実は1997年のイングランド銀行の改革により政府からの独立後最初のMPCメンバーにすでに2人の外国人が入っていた。現在もアメリカ人のボーゼン委員がMPCメンバーに入っている。

 しかし、総裁そのものに外国人を起用するというのは、結果的に選出の責任者といえるジョージ・オズボーン財務相は、なかなか思い切ったことをしたと思う。しかも、2月に就任を打診しても、カナダに住み続けたいとして就任要請を断ったとされるカーニー氏を、いろいろな待遇込みでなんとか口説き落としたとされる。

 ちなみにカーニー氏には、イギリスとカナダの二重国籍を持つ奥さんと、娘4人がいるとか。イングランド銀行総裁になるにあたり、イギリスの市民権も取り二重国籍となるようである。

 カーニー氏が率いるカナダ銀行はリーマン・ショックなどによる金融危機後に、G7の中でいち早く引き締めを実施し、2010年には政策金利を3度にわたって引き上げている(ロイター)。また、カナダ中銀は2009年に条件付きながら政策金利を翌年半ばまで過去最低の0.25%で据え置く姿勢を示し、いわゆる時間軸政策の先鞭をつけたとされる(これについては日銀が先輩のような気がするが)。

 このような手腕が評価されての起用とみられる。さらにカーニー氏は金融安定化理事会(FSB)議長でもあり、銀行に対しては規制強化が必要との立場でもある。

 イングランド銀行総裁となれば、カナダ銀行とはまた大きく状況も異なる。来年6月までにはいろいろと情勢も異なってくると思われるが、どんな手段を講じてくるのか楽しみである。ちなみに日銀の白川総裁の任期は来年4月である。こちらの人事の行方も注目だが、誰が選ばれるのか以前に、誰が選ぶのかも分からない状況にある。

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by nihonkokusai | 2012-11-29 09:43 | 中央銀行 | Comments(0)
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