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リフレ政権へのリスク

 2013年は日本にとって変化の年になる可能性がある。ひとつは12月16日の衆院総選挙によって政権が変わるであろうことによる影響である。自民党が政権を奪還するのではとの見方が強いようであるが、ここに大きな懸念材料が存在する。

 自民党の安倍総裁は政権奪還後、政府と日銀はアコードを結び、インフレターゲットを設定する。目標達成までは無制限な対応を行い、もし政策目標達成できなければ、日銀には説明責任を求めるとしている。さらに日銀法改正も視野に入れている旨を示唆している。

 11月15日には都内の日本商工会議所の岡村正会頭らとの懇談会で、日銀の金融政策に関して「政権をとった暁には日銀と政策協調を行い、大胆な金融緩和を行っていくことを約束する」と語ったそうである。たしか金融政策を決定するのは自民総裁ではなく日銀総裁を含めた政策委員ではなかったろうか。勝手に約束などして良いものなのか。

 さらに日銀が10月30日の金融政策決定会合で決定した2か月連続の金融緩和について「市場が織り込み済みになってしまう緩和だ」と指摘。この言葉の意味が良くわからない。緩和を行えば、それを市場は織り込みに行くと思うのだが。

その上で「基本的には2%、3%のインフレ目標を設定して、それに向かっては無制限に緩和していく(ことが必要)」と述べたそうである(日経電子版)。

 自民党が政権を奪還するかどうか不透明ながら、もし安倍総裁が首相になれば、これらの発言を実行に移してくる可能性がある。いわばリフレと呼ばれるような政策である。日銀はすでにかなり踏み込んだ政策を行っているが、政策協調とかで政府による圧力が加わり、ましてや日銀法改正まで視野というのであれば、さらにアクセルを踏まざるを得なくなる。そもそも日銀の独立性が脅かされる事態にもなりかねない。

 今後は国債の買入等のさらなる増額なども予想され、市場ではこの政府の圧力や、アコード、さらには日銀法改正の動きに対し、財政ファイナンスと認識してくる可能性もありうる。それでなくても多額の債務を政府は抱えている状況では、このような積極的な日銀による国債購入は後戻りすることが困難になる恐れがある。

 2013年はさらに注意すべきことがある。白川日銀総裁の任期は2013年4月8日、その前に山口副総裁と西村副総裁の任期は2013年3月19日となっていることである。

 白川総裁の任期は来年4月となるが(再任の可能性はある)、それまでに衆院選が行われ、安倍氏自らが首相になった場合の次期総裁人事について、「わが党が政権を取っていればの話だが、当然、政府と協調してデフレ脱却のために思い切った大胆な金融緩和を行ってもらえる方」が望ましいと述べていた。

 もし仮に安倍総裁が首相となった場合には、白川総裁の再任の可能性はなくなるとともに、たとえば山口副総裁や西村副総裁の総裁昇格といった可能性もなくなるとみられる。そうなれば新たな総裁・副総裁はすべて「思い切った緩和を行っていくべき」人物に置き換わるということになる可能性がある。

 11月14日に衆院の解散総選挙の日程が具体的に示されてから、円安の動きが強まっているが、これは安倍政権を意識して安倍シフトを敷いたことによる動きとされた。その背景にあるのはデフレ脱却への期待なのであろうか。それよりも、そこに潜むリスクを意識した動きなのではなかろうか。これは決して債券市場というか国債市場にとり、好ましい状況ではないはずである。

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by nihonkokusai | 2012-11-16 09:09 | 日銀 | Comments(0)
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