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歴史上2%割れの長期金利は極めて希、ところが今は至る所で

 長期金利については、どの水準が低金利となるのか、具体的な目安があるわけではないが、過去の歴史を振り返るとそれはどうやら、2%がひとつの節目となっている。

 しかし、歴史を振り返ると長期金利の2%割れのケースはこれまではわずかしかなかった。そのひとつが日本である。日本の長期金利は1997年8月27日に現物指標銘柄が初めて2%を割り込み、その後、1999年に2.440%まで上昇した。それ以降は2006年に2.005%をワンタッチしたものの、それ以外は現在に至るまで2%を上回ったことがない。2003年6月11日には0.430%まで低下し、世界記録を作っている。

 過去の歴史において、長期金利が2%割れとなった他のケースを確認してみたい。最も古い記録は、1611年から21年間2%以下の金利が続いたジェノバ共和国の長期金利である。当時のジェノバは地中海貿易で富を蓄えた金融大国であった。このカネ余りが超低金利をもたらすことになる。ジェノバの長期金利が1619年に1.125%と歴史的な水準にまで低下したのである。ジェノバの銀行家が当時の強国であるスペインの戦費調達を助けたことで、ジェノバには大量に金銀が流れ込んだ側面もあったようだが、スペイン王家の衰退が始まると、金利は急激に上昇することになる。1625年にはジェノバの金利は4%を超えて、異常な超低金利時代は終焉したのである。

 そして、第二次世界大戦前後の米国でも長期金利が2%割れとなった。1941年に1.85%を記録している(残存12年超)。1941年から1951年にかけて、米国の長期国債金利は低位安定しており、25年債は一度も2.5%を上回ることがなかった。これについては、「国債利払い費を抑制するために国債価格を維持するために買いオペを行なってきたという解釈が多かった」(「国債の歴史」富田俊樹氏より引用)。

 これが結果として最近また取り上げられるようになった「アコード」へと結びつく。つまり、第二次世界大戦後、国債の利払いコストを抑えさらに利上げによる国債価格の下落を回避しようとしたアメリカの財務省と、インフレ抑制のために金融引き締めを主張するFRBとの対立が激化した。このため1951年にトルーマン大統領の調停により、財務省とFRBとの間で「アコード」が成立し、国債管理政策と金融政策が「分離」され、これによって低金利政策は廃止され、FRBは政府からの「独立性」を強めたのである。(「マネーの歴史(世界史編)」 [Kindle版]より引用)。その後の米国では、物価の急上昇などもあり、長期金利も上昇し始め1956年に3%、1959年には4%を超えてきたのである。

 ちなみに「国債の歴史」によると、長期間にわたって金利低下が続いたヴィクトリア時代の英国においてのコンソル(永久国債)の最低金利は1897年の2.25%であったそうである。

 これを見てもおわかりのように、世界史の中で最も超低金利時代と呼ばれそうなのは、17世紀のジェノバではなく、また第二次世界大戦前後の米国でもない。まさに現在がそれに該当しよう。

 現在では2%以下となった長期金利は至る所で存在している。米国、カナダ、英国、ドイツ、オランダ、フィンランド、オーストリア、スイス、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、チェコ、シンガポール、台湾、香港そして日本である。歴史上、21世紀に入るまでわずか3か国の事例しかなかったものが、現在これだけの国や地域で超低金利となっているのである。これはまさに異常な事態であると言えよう。

 ちなみに日本ではすでに1997年から15年以上も続いている2%割れの長期金利ではあるが、米国の長期金利が2%を割り込んだのは2011年8月のことであった。

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by nihonkokusai | 2012-11-08 09:17 | 債券市場 | Comments(0)
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