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10月の債券相場を見る上での注意点

 予想はなかなか当たるものではないというのは、ディーラー時代から実感しており、自分の予想を信じずに、なるべく臨機応変にディールした方が儲かる事は実証済み。このため、あまり予想を立てることは得意ではないものの、相場そのものよりも相場に関連ありそうな10月の出来事を中心に、その注意点などを探ってみたい。

 国内要因として最初に気になるのが景気の動向か。28日に発表された8月の鉱工業生産指数速報値は生産指数が前月比1.3%の低下となり、市場予想を上回る減少となった。9月の月例経済報告で政府は基調判断を前月に続き下方修正しているが、ここにきて景気減速を示す数値も多くなっている。日銀が9月19日に追加緩和を行った理由のひとつが、世界経済の下振れによる日本経済への影響を意識したものであった。

 この意味で注目されるのが10月1日に発表された日銀短観となる。大企業・製造業DIは、6月に行われた前回の調査と比べて悪化するとの予測が多かったが、実際に6月のマイナス1から、今回はマイナス3に悪化した。ただし、今回の短観結果については回収日の関係で、9月15日あたりからの中国の暴動による影響等はそれほど加味されていないと思われる点には注意したい。

 この短観を受けて10月30日の日銀の金融政策決定会合で公表される展望レポートで景気見通しを下方修正するとみられている。しかし、これを意識してすでに日銀は追加緩和を実施していることで、あらためて追加緩和期待が10月中に盛り上がるようなことはないと思われる(期待そのものは強まる可能性はあるが)。

 8月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比マイナスの0.3%となり、4か月連続のマイナスとなった。こちらも日銀が物価の目途とする1%にはほど遠い。このあたりについては、自民党総裁選で勝利し、デフレ脱却を旗印にした安倍氏の動向も気になるところである。

 現在のところ、総選挙を行えば自民党が勝利するとの予想となっており、もし安倍総裁が総理に再び返り咲くと、デフレ脱却のためとしての日銀法改正が現実味を帯びる可能性がある。ただし、それについては、日銀法改正案に慎重な甘利明元経済産業相が自民党政調会長となるこや、日銀法改正法の急先鋒とも言えた中川秀直氏が次期衆院選に立候補せず、議員を引退する考えを表明したことも多少なり影響が出るかもしれない。

 たしかに与野党には、リフレ派政策を掲げる議員も多いが、中央銀行の独立性を脅かすリスクを理解している議員も当然いるはずであり、中央銀行の歴史の流れに反するような行動はさすがに取りづらくなるのではなかろうか。

 その解散総選挙に絡んで注意すべきは、秋の臨時国会の行方が大きな焦点となる。自民党総裁に安倍氏が就任したことで、公債特例法案については政争の具とせず、成立させる可能性は多少強まった。しかし、総選挙が絡んでどのように転ぶかは不透明である。

 公債特例法案が成立せずとも、国債の利払いや償還については滞りなく行われることで日本国債のデフォルトと言う事態はないものの、今後の予算執行への懸念が強まれば、社会不安を招くと共に、海外からの懸念等が広がる恐れもある。総選挙の時期やその結果の行方とともに、この公債特例法案の行方も10月は気にしておくべきものとなろう。

 海外要因としては、引き続き欧州の動向も大きな焦点となる。スペインについては政府が歳出削減に重点を置いた2013年予算案を提示し、経済改革の行程表を明らかにし、欧州委員会が要請していた予算の執行状況を監督する独立機関の設立も発表するなど、支援要請を意識しての動きを示している。これでひとまず懸念は後退している。

 しかし、欧州での景気後退も深刻化しており、それが財政再建を難しくさせている。また、ドイツについては南欧への支援なども影響してか、今後のドイツ国債の下落リスクを指摘する見方もあり、このあたりの動向にも注意しておきたい。

 米国では大統領選挙が今後の最大の焦点となるが、共和党のロムニー候補の失策が続いたこともあり、民主党の現職のオバマ大統領が再選される可能性が高い。そうなれば9月にQE3を決定したFRBというかバーナンキ議長も一安心となろう。

 その後は、あらためて財政の崖対策が注目される。すでにQE4を期待する声が市場では上がっているが、財政の崖問題は、景気減速を前提とした金融政策の問題である前に財政問題である以上、議会の動向にこそ注目すべきものとなろう。

 以上の状況を踏まえて、10月の日本の債券市場を占ってみると、引き続き安全資産としての日本国債には買いが入りやすく、長期金利は低位安定し、あまり大きな動きは見せないとの予想となる。

 しかし、状況次第ではさらに長期金利は低下し、0.7%近辺あたりまで下げてくる可能性もある。この背景としては、日本の景気動向が大きく影響し、欧州の信用リスクもなかなか後退しないことなども、後押し材料となりそうである。

 下期入りしての銀行の動向も気になるが、海外投資家の動向も今後の相場にも影響を与えるものとみられ、いまのところ売りというよりも、買いスタンスで望む可能性が高そうである。

 もちろん何か現時点では予測できない要因をきっかけとして、相場が大きく変動する可能性もあり、それには臨機応変で望む必要がある。

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by nihonkokusai | 2012-10-01 09:25 | 債券市場 | Comments(0)
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