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金融政策を決める場は男性社会、ただし米国は異なる

 ロイターによると、欧州議会はルクセンブルク中銀のメルシュ総裁の欧州中央銀行(ECB)専務理事就任に向けた公聴会開催を延期したそうである。これはECB内の人事に男性への「システミックな」偏りが見られることが理由だとか。欧州議会では、ECBの運営組織が男性のみで構成されていることや、女性の候補者が検討さえされないことに懸念が示されていたそうである。

 ECBの定例理事会の議決権を持つメンバーは、ECBの役員6名(総裁、副総裁、理事4名)と域内17か国の中央銀行総裁も加えて23名。このうちECBの役員は、イタリア出身のドラギ総裁(前職はイタリア銀行総裁)、ポルトガル出身のコンスタンシオ副総裁(同ポルトガル銀行総裁)、専務理事としてベルギー出身のプラート氏(元IMFのエコノミスト)、ドイツ出身のアスムセン氏(同財務次官)、フランス出身のクーレ氏(同財務省のチーフエコノミスト)という顔ぶれ。確かに男性ばかりである。ただし、以前にはハマライネン氏(フィンランド中銀総裁)、トゥンペルグゲレル氏(オーストリア中銀副総裁)という女性理事がいた。つまり過去には女性枠があったのが、トゥンペルグゲレル氏の退任後はなくなってしまっていた。

 参考までに、ユーロ圏17か国の中央銀行総裁を確認しておくと、オーストリア国立銀行はノボトニー総裁(男性)、ベルギー国立銀行はカデン総裁(男性)、キプロス中央銀行はデメトリアデス総裁(男性)、エストニア銀行はリプストク総裁(男性)、フィンランド銀行はリーカネン総裁(男性)、フランス銀行はノワイエ総裁(男性)、ドイツ連邦銀行はバイトマン総裁、ギリシャ銀行はプロボポラス総裁(男性)、アイルランド中央銀行はホノハン総裁(男性)、イタリア銀行はビスコ総裁(男性)、ルクセンブルク中央銀行はメルシュ総裁(男性)、マルタ中央銀行はマルタ総裁(男性)、オランダ銀行はクノット総裁(男性)、ポルトガル銀行はコスタ総裁(男性)、スロバキア国立銀行はマクチ総裁(男性)、スロベニア銀行はクラニェツ(男性)、スペイン銀行はリンデ総裁(男性)とすべて男性であった。

 日銀の政策委員も女性が一人いる(これも女性枠と称される)。新制度になってからは、篠塚英子氏、須田美矢子氏、そして現在の白井さゆり委員となっている。ここにきての審議委員の選定にあたっては男女の割合などより、デフレ脱却に向けて、というより政府の意向を反映した人事かどうかだけで判断された気配がある。まあ、それでも一人いるだけでも、ECBやBOEに比べてまだましともいえる。

 イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は、総裁1名、副総裁2名、理事2名と、財務大臣により任命された外部委員4名の計9名で構成されている。キング総裁は大学教授、BOEのチーフエコノミスト・副総裁を経て現職。ビーン副総裁は財務省、大学教授、BOEのチーフエコノミスト・常任理事を経て現職。ダッカー副総裁はマーチャント・バンク、BOE理事を経て現職。常任理事はBOEの金融政策と金融調節担当者が選ばれ、現在はデール理事とフィッシャー理事。外部委員のブロードベント委員は財務省の経済顧問、ゴールドマン・サックスのエコノミスト。マイル委員はモルガン・スタンレーのチーフエコノミスト。ボーゼン委員はアメリカ人のエコノミスト、ウィール委員はケンブリッジ大学で経済学を教えていた。 こちらも男性ばかりである。

 ただし、FOMCのメンバーの7名の理事に関しては、女性の比率が高くなっている。バーナンキFRB議長はプリンストン大学の教授等の後FRB理事、CEA委員長などを経てFRB議長に就任。イエレン副総裁(女性)は元サンフランシスコ地区連銀総裁。デューク理事(女性)は銀行界出身、タルーロ理事は大学教授やクリントン政権時代に大統領補佐官を務めた。ラスキン理事(女性)の前職はメリーランド州金融規制局長、NY連銀でも働いていた経歴を持つ。パウエル理事はブッシュ大統領の下で財務次官を務め、スタイン理事はハーバード大学の経済学教授。

 こちらも連銀総裁についてみてみると、ボストン連銀のローゼングラム総裁(男性)、リッチモンド連銀のラッカー総裁(男性)、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁(男性)、ニューヨーク連銀のダドリー総裁(男性)、アトランタ連銀のロックハート総裁(男性)、カンザスシテイ連銀のジョージ総裁(女性)、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁(男性)、シカゴ連銀のエバンス総裁(男性)、ダラス連銀のフィッシャー総裁(男性)、クリーブランド連銀のピアナルト総裁(女性)、セントルイス連銀のバラード総裁、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁(男性)と、こちらは男性10人、女性2人となっている。

 これを見る限り、欧州では金融政策は男性の仕事と意識されているようで、米国では女性の割合が欧州に比べて高い。日本ではこれまで政策委員の9人中1人とこれは1人ぐらい入れておかないとまずいので1人いるといった感じにもとれなくもない。これを見ても日本の金融政策は米国より欧州の影響を強く受けているようにも思えるような。たしかに日銀のモデルになったのはベルギーの中央銀行ではあったが。

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by nihonkokusai | 2012-09-18 09:43 | 中央銀行 | Comments(0)
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